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岐阜県主要農作物種子条例

記事ID:0019990 2019年3月22日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

 私たちは、地域の気象や土壌等により育まれた、米、麦、大豆をはじめとした農作物により、豊かな食生活を享受してきた。また、地域に根差したこれらの農作物が、長い間、地域に伝わり、本県農業を支え、清流の国の美しい農村風景と文化をつくり出してきた。
 一方、我が国の食料自給率の低下やグローバル化の進展に伴う輸入農作物の増加などにより、将来の食料の安定供給と農作物の安全・安心、地域に根差した農作物の衰退に対する不安の声も高まっている。
 毎日の食生活に密接に関連する、安全・安心な主要農作物の安定的な供給や本県農業の持続的な発展のためには、県民や関係者の理解を深め、地域に根差した主要農作物を保存し、継承していくことが不可欠である。
 ここに、長年培ってきた地域の財産である主要農作物の種子を守り、次代へ引き継いでいくための施策を推進するとともに、その必要性についての県民の理解を促進するため、この条例を制定する。
(目的)
第一条この条例は、主要農作物(稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆(いずれも食用又は酒造用であるものに限る。)をいう。以下同じ。)の優良な種子の生産及び普及を促進し、もって本県の主要農作物の生産性の向上及び品質の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条主要農作物の種子の生産及び普及は、県内の種子の安定供給及び食糧の安全性の確保に資することを旨として行われなければならない。
2主要農作物の種子の生産及び普及は、生産地の気候、土壌等の生産環境及び消費者の嗜(し)好に十分配慮して行われなければならない。
3主要農作物の種子の生産及び普及は、県民の理解を得つつ、県及び農業者団体その他の関係者との連携及び相互理解の下に行われなければならない。
(県の責務)
第三条県は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及に係る施策を計画的に推進するとともに、必要な体制の整備を図るものとする。
2県は、前項の施策の推進に当たっては、農業者団体その他の関係者との連携を図るものとする。
(奨励品種の決定)
第四条県は、県内における生産を奨励すべき主要農作物の優良な品種(以下「奨励品種」という。)を決定するものとする。
2県は、奨励品種を決定するに当たっては、必要な試験等を行うものとする。
(生産計画)
第五条県は、毎年度、奨励品種のうち県が種子供給に関する取組を行う品種(以下「対象品種」という。)の優良な種子の生産に関する計画(以下「生産計画」という。)を策定するものとする。
2生産計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一対象品種の種子の需要の見通し
二対象品種の種子の必要な生産量
三前二号に掲げるもののほか、対象品種の種子の生産に関し必要な事項
3県は、生産計画を策定するため必要があるときは、農業者団体その他の関係者に対し、資料の提出その他の必要な協力を求めることができる。
4県は、生産計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5前二項の規定は、生産計画の変更について準用する。
(原原種及び原種の生産等)
第六条県は、生産計画に基づき、原原種ほ(原種(優良な一般種子の生産を行うために必要な種子をいう。以下同じ。)の生産を行うために必要な原原種(優良な原種の生産を行うために必要な種子をいう。以下同じ。)の生産を行うほ場をいう。以下同じ。)及び原種ほ(原種の生産を行うほ場をいう。以下同じ。)を設置し、原原種及び原種を生産するものとする。
2県は、生産計画に基づき、生産した原種を一般種子を生産する者であって県が認めたものに配布するものとする。
(一般種子生産ほ場の設置)
第七条県は、生産計画に基づく種子の生産が行われるよう、農業者団体その他の関係者に対し、一般種子の生産を行うほ場(以下「一般種子生産ほ場」という。)の設置について指導するものとする。
(審査)
第八条県は、生産計画を実行するために必要な原原種ほ、原種ほ及び一般種子生産ほ場並びにこれらにおいて生産された種子について、ほ場審査(原原種ほ、原種ほ及び一般種子生産ほ場において栽培中の農作物の出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査することをいう。)及び生産物審査(原原種ほ、原種ほ及び一般種子生産ほ場において生産された種子の発芽の良否、不良な種子及び異物の混入状況等について審査することをいう。)を行わなければならない。
(勧告等)
第九条県は、生産計画に基づき、一般種子を生産する者又は一般種子を生産する者に種子の生産を委託した者に対し、優良な種子の生産及び普及のために必要な勧告、助言及び指導を行わなければならない。
(県民の理解の促進)
第十条県は、地域の農業の根幹を支える主要農作物の優良な種子の生産の重要性について、県民の理解を促進するため、啓発活動に努めるものとする。
(財政上の措置)
第十一条県は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及に係る施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。(委任)
第十二条この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。
附則
(施行期日)
1この条例は、平成三十一年四月一日から施行する。
(経過措置)
2この条例の施行の際現に県が奨励品種として決定している品種は、第四条第一項の規定により決定された奨励品種とみなす。
3この条例の施行の際現に県が定めている対象品種の優良な種子の生産に関する計画は、第五条第一項の規定により策定された生産計画とみなす。

提案説明
 地域の財産である主要農作物の優良な種子の生産及び普及のための施策を推進するとともに、その必要性について県民の理解促進を図るため、この条例を定めようとする。