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有機農業就農支援組織 NPO法人ゆうきハートネット

 

白川町における有機農業就農支援組織
NPO法人ゆうきハートネット
​~理事兼事務局長 伊藤和徳さんに聞く~

 可茂地域には、就農希望者を支援する様々な組織がありますが、そのなかで特筆すべき活動を行っているのは、白川町にあるNPO法人ゆうきハートネットです。この団体は、主に白川町において有機農業へ就農する移住者を町とともに支援しています。
 化学合成農薬や化学肥料を使用しないで、あるいは通常よりも少ない肥料で農業に取組んでおられる方々など44人を会員とし、生産技術、経営面での技術向上、会員と消費者との交流や会員が生産した農産物の販売、白川町での新規就農や定住促進の支援等を目的とした事業を白川町からの補助や委託も受けながら実施しておられます。
 岐阜県などが補助をした新規就農者研修施設「くわ山結びの家」、町営の農業研修交流施設「黒川Maruke」の管理も行っています。
 これまでにゆうきハートネットの役員や会員の手ほどきで有機農業をはじめることになった新規就農者は20組で、うち現に白川町へ移住されてお住まいの農業者(ご家族を含む)は45人です。
 有機農業の手ほどきもされている同法人の事務局長の伊藤和徳さんにお話を伺ってきました。伊藤事務局長は有機野菜農家でご自身も2010年に移住されました。

Q まずはご自身のこと。有機農家となられたきっかけは?

 学生時代から環境問題への貢献と自給自足の暮らしの両方に関心をもっていました。2004年に自給自足の暮らしはあきらめて愛知県の企業に就職し、水処理のプラントエンジニアリングの部署でセラミックフィルターの開発に携わりました。開発データの整理やプレゼン資料作りがメインの仕事でしたが、「環境に貢献している」実感があまりありませんでした。
 サラリーマン1年目から転職を意識し、情報収集はしていました。雑誌の記事中「命を大切にする仕事が見直される」なる主張に触発され、有機農業への関心を強めました。以来、さらに本を読み、情報を集め、人に会い、有機農業の現場を見学するようになりました。
 WWOOFジャパンという組織があり、有機農家での生活体験を斡旋しています。そこでは参加者が農家の仕事を一緒に行いますが、無料で食事と宿泊場所が提供されます。私は会社を退職して山梨県のWWOOFのホストもする農家に研修生として入り、WWOOFの参加者のお世話もしながら、1年間かなりハードに有機野菜の栽培を学びました。

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Q なぜ白川町に移住されたのですか?

 魅力的な人々に出会ったことだと思います。
 愛知県の実家から近いところということで、岐阜県、愛知県で有機農業をしたいと思っていました。ある日「無農薬のわらで家をつくる」ワークショップに参加したのがきっかけで、後にストローヴェイルハウスを白川町に建て移住されることになる塩月さんに出会いました。塩月さんは、無農薬のわらを求めて、白川町の無農薬米栽培の第一人者で、我々がレジェンドと呼ぶ、私の前の事務局長の西尾さんに出会いました。そして私を西尾さんに会わせてくれました。西尾さんのお骨折りでお知り合いの方の農地と家をお借りすることができたので、山梨での研修後ここに移住することにいたしました。

Q 就農希望について相談に乗ってほしい場合はどうすればいいですか?

 いろいろなチャネルで白川町での就農希望が寄せられます。特段の型は定めていません。いただいたメールに返信するなどで、有機農業を志す理由、就農スケジュール等のプランについて質問します。具体性や本気の度合いに応じて、見学や農業体験を受入れます。移住や新規就農に対しては、町や可茂農林事務所の支援が受けられる場合がありますので、移住や就農研修のプランが具体化している方の情報は、町などへもおつなぎしておきます。

Q 移住希望者の住居はどのように探しますか?家賃はいくらぐらいからですか?

 今は町の移住交流サポートセンターが空き家バンクという制度を始められたので、そちらに対応してもらいます。家賃はだいたい5千円から2万5千円の間です。私自身は10年前に農地7反、山4ha、大きな倉庫2棟と母屋の家を2万円でお借りしました。

Q これまでの経験から農業に向く人、又は移住の満足度が高い自己評価の人はどんな人?

 社交性のある方です。地元との交流や協同意識がないと受け入れてもらえないし、受け入れてもらえないと助けの手も差し出してもらえません。例えば「農薬は絶対ダメ」という固定観念がある方は多少苦労するかもしれません。地域には化学肥料を使う農家さんもいらっしゃいますから、同じ農業者として認め合い、時には協力しあうことが必要で、折合いをつけなければなりません。


 有機農業は収量を安定させることが難しく、白川町の冬は厳しいため通年栽培できないという環境で、多くの会員は、冬の時期にもできる副業やアルバイトもしながら生計をたてています。副業はグリーンツーリズムの受け入れなどのサービスであったり、堆肥の生産であったり、林業であったりと様々です。一方、白川町の有機農家は、暮らしとしての農業ととらえている方が比較的多く、そういう方は、農を暮らしに、生活に取り入れる工夫をし、収入がなくても暮らせることに満足しています。

Q 会員のためのPR事業を検討中とのことですが

 ゆうきハートネットのロゴマークを作成し、団体の知名度を高め、これにより会員の農作物の販促につなげたいと考えています。