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古代

 古代、仏教が広まる中で各地に古代寺院が建てられました。また、律令制度の下で国衙(こくが)や郡衛(ぐんが)とよばれる役所が置かれました。
岐阜県内でも古代寺院や役所の跡が見つかっています。岐阜県の遺跡で確認した遺構や出土品から、当時の様子を想像してみましょう。

幻の古代寺院の発見

 古代寺院の発掘調査は、昔からの伝承などにより学術調査として行われることが多いですが、高畑遺跡(池田町)は道路工事中に発見された瓦をきっかけに発掘調査が行われました。

瓦の出土状況
瓦がまとまって出土した様子

発掘調査で大量の瓦や浄瓶(じょうへい、仏教において清らかな水を入れる瓶)、古代寺院の回廊跡等が見つかり、文献記録や伝承にない古代寺院が存在していたことが分かりました。
軒丸瓦の画像1
出土した軒丸瓦

浄瓶
出土した浄瓶

古代寺院の名を記した土器

 寿楽寺廃寺跡(飛騨市古川町)では、「高家寺(たきえじ)」と墨で書かれた須恵器や「高」の文字が刻まれた瓦が出土しました。
墨書土器
「高家寺(たきえじ)」と墨で書かれた須恵器

瓦
「高」の文字が刻まれた瓦
軒丸瓦の画像2
出土した軒丸瓦

三彩陶器

出土した三彩陶器(さんさいとうき)

 周辺で古代の瓦が見つかっていたことから、古代寺院跡が埋もれていることが予想され、近くの寺院の名前から「寿楽寺廃寺跡」と呼ばれてきました。しかし、瓦と土器に書かれた文字の発見によってその古代寺院は「高家寺」である可能性が高いことが分かりました。

古代の役所跡

広畑野口遺跡(各務原市)では、古代の役所跡と考えられる掘立柱建物群が見つかりました。

柱の跡
人が立っているところが柱の跡

柱穴
柱の跡
建物跡周辺からは、役人の必需品である硯(すずり)や一般集落ではあまり見られない「美濃国」刻印須恵器などが見つかりました。

円面硯
円面硯(えんめんけん)

須恵器
「美濃国」刻印須恵器

古代の鉄器生産

 鉄は武器・農具・工具などの様々な目的で使うことができ、古代において非常に貴重な素材でした。そのため、古代の鉄器生産は、役所等の公的施設が中心になって行っていました。
野内遺跡B地区では、硯(すずり)や腰帯具など役人に関連する遺物が出土し、官営鍛冶工房で見られる形態の鍛冶炉が複数見つかりました。
下の写真は、発掘調査で確認された平安時代の鍛冶(かじ)に関連する遺構です。中央付近に焼土、その南側に金床石(鍛冶を行う際の作業台)と考えられる表面が平らな石が見つかりました。

鍛冶関連遺構
鍛冶に関連する遺構(平安時代)

古代の人々のくらし

 では、各地に寺や役所など屋根に瓦を葺くような立派な建物が広がったころ、一般の人々はどのようなくらしをしていたのでしょう。
稲荷遺跡(大野町)では、平安時代前期の竪穴建物が見つかりました。北側の壁にカマドが備え付けられており、煙を外に出すための溝が残っていました。
竪穴建物
竪穴建物(平安時代のもの)

遺構
カマドと煙を外に出すための溝
稲荷遺跡では、奈良時代から平安時代の建物が17軒見つかりました。当時の人々が住居を建て替えながら生活していたのかもしれません。
奈良時代から平安時代の竪穴建物 
方形の形をしたものが奈良時代から平安時代の竪穴建物
 地面を掘り窪めて床を作り出し、上に屋根をかける家のつくり方は、それ以前の時代から大きく変わっていなかったようです。

 文化財保護センターでは、こうした出土品の貸し出し(保管資料の活用)や、出土品を持参して行う出前授業(出前授業)も行っております。
ぜひ御活用ください。

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