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カスミサンショウウオ

カスミサンショウウオ Hynobiusnebulosus(TemmincketSchlegel) 絶滅危惧I類
(環境省:絶滅危惧II類) 有尾目サンショウウオ科
選定理由 既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準まで減少している。 写真を拡大表示します
形態の特徴 全長10cm前後で体色は淡灰褐色から暗褐色まで変異に富む。尾の上下に黄色の縁どり模様が入る。幼生はバランサーを持つ。卵嚢はバナナ状からコイル状まで変異に富む。
生息環境 低地から丘陵地の樹林や竹林などに生息し、水田周辺の水たまりや溝、池沼、湿地など、主に止水で産卵する。
生態 成体は樹林や竹林の落葉下や腐葉土中で生活しており発見しにくい。県内での繁殖期は2月〜4月がピークと考えられる。落葉などが堆積した比較的浅い止水や緩やかな流れのある場所に雌雄が集まり、夜間に産卵行動が展開され、産卵後も雄は卵嚢の近くにとどまる。ふ化した幼生は6〜7月に変態上陸する。
分布状況 日本固有種。愛知県以西の本州、四国の瀬戸以内海沿岸、九州北西部など西日本に広く分布する。県内では、現時点で岐阜地域と西濃地域の2ヶ所のみ生息が確認されている。海津市では1984年を最後に生息が確認されていない。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 人の生活圏周辺の里山的な環境を生息地としてきたが、このような場所が急激に減少してきている。また、湧水の枯渇、湿地の乾燥化、水田の耕作放棄、土堀の水路からコンクリートのU字溝への転換など繁殖場も急激に減少している。
保全対策 繁殖場となる止水性の水域とその周辺部の樹林・竹林などが複合的に残された環境を保全する。
特記事項 岐阜市貴重野生動植物種。水産庁レッドデータブック危急種(京阪個体群として)。
参考文献
  • 松井正文・関慎太郎(2008)カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック80pp.:文一総合出版
  • 岐阜県高等学校生物教育研究会(1974)岐阜県の動物:大衆書房
  • 内山りゅう他(2002)決定版日本の両生爬虫類:平凡社
  • 松橋利光・奥山風太郎(2002)山渓ハンディ図鑑9日本のカエル:山と渓谷社
  • 佐藤井岐雄(1978)日本産有尾類總説復刻版:第一書房
  • 松井孝爾(1985)日本の両生類・爬虫類:小学館
  • 水産庁編(1998)IV両生・爬虫類.日本の希少な野生水生生物に関するデータブック199-248p.:(社)日本水産資源保護協会

文責:高木雅紀

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