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令和2年度に警察が検挙した大麻事件は、前年比713人増の5,034人となり、4年連続で過去最多を更新しています。
検挙した大麻事件を分析すると、特に20歳代や未成年の検挙者の急増が大麻事件全体の検挙の増加の原因であることがわかりました。
20歳代は前年比590人増の2,540人と全検挙者の半数を占め、20歳未満は前年比278人増の887人といずれも急増しています。
さらに、若年増への大麻の広がりの中で、特に危惧する点は、学生への広がりです。
昨年は、大学生が前年比87人増の219人、高校生でも50人増の159人、さらに中学生も8人の検挙者がありました。
ここまで若年層に大麻が広がっている原因は、危険性の認識の低さにあります。
警察庁が行った調査によると、大麻で検挙された者の約80%が「大麻は身体に悪影響を及ぼさない」と誤った認識を持っているという結果が出たのです。
大麻草は、甘ったるい匂いや青臭い匂いが特徴であり、乾燥させた状態で売買されることが多く、成分として精神作用物質であるテトラヒドロカンナビノール(THC)などが含まれています。
THCは、脳の各部分を過剰に反応させることで、「高揚感」「多幸感」を覚え、これが依存症の原因となります。
しかし、その反面、
・感覚の変化、時間認識の変化、気分の変化
・動作障害、記憶障害
・思考能力、問題解決能力の低下
・幻覚、妄想
・精神病状態、無気力状態になる
などの身体への悪影響も多大です。
未来のある若者が薬物の影響で、将来の夢、希望を失っていくことは、悲しいことです。
そのことを使った人の自己責任、使うほうが悪いと思う方もいるでしょう。
しかし、薬物事件には暴力団などの反社会的組織が関わっていることが多く、それら組織は自らの資金源を確保するために、社会に薬物をまん延させているのです。
若者がその餌食になっていると考えてはどうでしょうか?
大麻が若年層に広がっているということは、社会全体の深刻な問題なのです。
私たち各務原警察署は、この各務原市から大麻を撲滅し、若者が健全に成長できる社会の実現に向けて、日々、捜査をしています。
その捜査の中で、市民の皆様からの情報が元で検挙につながることも多くあります。
「あれ?あそこのお宅のベランダで育てている植物、大麻っぽいかも?」
「なんか犬の散歩コース沿いにある工場から、青臭い匂いがする?」
「同じクラスの○○君、最近、何か様子がおかしいな?」
などのちょっとした情報が大麻のない社会の第一歩となるのです。
どのような些細なことでも構いません。警察と市民の皆様の力を合わせて、大麻のない社会を目指しましょう。情報をお待ちしています。