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岐阜県林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想

■策定年度:平成14年7月16日(岐阜県告示第387号)

第1林業経営基盤の強化に関する目標

岐阜県はその82%を森林が占める林業県である。

蓄積は着実に伸びているものの採算性の低下並びに従事者の高齢化及び減少により森林の荒廃が危ぐされている。

本県の民有林資源状況をみると、

恵那地域のヒノキ林と、飛騨地域のスギ林を主体に人工林が45%を占めており、

その齢級構成は間伐、保育の必要な35年生以下が66%を占めている。

基盤整備の状況としては、

間伐対象森林が15万haに対して、平成12年度の除間伐実施面積は13千haであり、

間伐の推進が急務となっている。県全体の林道密度は約6m/haと生産基盤の整備が不十分な状況にある。

近年、県民は森林に対して、林産物の供給のみならず、森林の有する多面的な機能の発揮を求めている。

このため、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしている林業の持続的かつ健全な発展を図ることが必要である。

しかしながら、本県の林業を担う林業家等は、

木材価格の低迷、造林費の増嵩等による林業収益性の低下、林業従事者の減少及び高齢化の進行等により、

持続的な経営が厳しい状況になっている。

 

 このような状況を打開するため、今後の林業、森林整備等を担う者として、

地域の林業経営のリーダー役となる、主として所有森林を対象に林業経営を行う林家等の林業経営体や、

主として森林施業の受託により林業経営を行う素材生産事業者等の林業事業体の育成に努めることとする。

林家や林家が法人化した会社等の林業経営体は、効率的かつ安定した経営基盤の確立を目標とする。

林家は、地域の他産業従事者並の生涯所得を得られるように、年間林業所得を650から800万円程度を確保できるような育成に努めることとする。

林家が法人化した会社は、林業粗利益で概ね1,000万円を確保できるような育成に努めることとする。

(社)岐阜県森林公社、(社)木曽三川水源造成公社、県有林等(以下「森林整備法人等」という。)は、計画的・安定的な事業計画、経営方針の明確化、生産技術の向上等により、効率的な事業の推進に努めることとする。

素材生産業者等の林業事業体は、生産性の高い林業生産活動を行い、林業粗利益で概ね1,000万円を確保できるような育成に努めることとする。

 

 なお、本構想に示す数値は参考指標であり、地域名等は現在の林業経営に加え特徴的な分野を示すものである。

第2林業経営の規模、生産方式等に関する林業経営の類型ごとの指標

1林業経営の指標の考え方

 効率的かつ安定的に林業経営を担い得る林業経営体や林業事業体を育成するに当たり、次により経営の基盤強化及び安定化を目指す。

 林業経営体は、所有森林の拡大により素材生産量の確保及び森林施業の効率化を図るとともに、同一地域内の経営意欲の低下している森林所有者から森林施業や経営の受託を進める。また、特用林産物の生産が盛んな地域においては、特用林産物を取り入れた複合経営を行い、経営の基盤強化及び安定化を推進する。

 林業事業体は、年間を通して安定的な事業量を確保するため、積極的に森林施業の受託を進め、経営の基盤強化及び安定化を推進する。

 このため、担い手たる林業経営体と林業事業体の望ましい姿を指標として示し、育成の目安とする。

2林業経営の類型ごとの指標

【経営類型別の経営指標】(林業経営の規模の拡大等、生産方式の合理化、経営管理の合理化及び事業実行方式の改善)

 国の基本方針に示された育成すべき林業経営と林業事業体の基本的考え方を踏まえつつ、本県における規模や態様を勘案し、林業経営体と林業事業体の目指すべき目標を経営類型ごとの経営指標として下記に示す。

 この提示された経営指標は、一定の条件下での標準的な経営目標を示したものであり、各地域の実情及び林業経営体や林業事業体の態様に応じて、様々な経営方法及び程度があり得るものである。

 【林業経営類型ごとの指標】

 (別紙のとおり)

32を実現するためとるべき措置

(1)経営方針の明確化

 林業経営体のうち林家や林家が法人化した会社は、所有森林周辺の森林施業や経営の受託等により経営規模を拡大し、森林施業の効率化に努める。

また、観光資源などに着目した特用林産物の生産を導入し経営の安定化を進める。

 森林整備法人等は、森林の公益的機能の発揮がなされるよう長伐期施業や複層林施業を計画的に実施し、委託により林業事業体の育成にも努める。

 林業事業体は、小規模所有者の森林施業や経営の受託を積極的に行い、効率的な伐採や保育を実現するためにも高性能林業機械の導入や林内路網の整備を進める。また、森林組合は、広域合併により経営基盤の強化も進める。

(2)林業経営基盤の強化

ア経営規模の拡大

 岐阜県の民有林面積は、約68万haのうち約22万haが不在村者の所有する森林であり、約32%を占めている。森林施業の確実な森林整備法人等を除くと不在村者の所有する面積率は更に増加する。

 このため、地域の森林事情に詳しい森林組合が中心となり整備が遅れている森林の取得のあっせんといった林地供給事業を推進し、経営意欲のある林業経営体への流動化を進める。

 林業事業体は、経営意欲の低下した森林所有者の森林施業や経営を受託し、事業量の確保を進める。また、長期の受託により森林施業計画を樹立し、計画的な事業量確保と事業実施を進める。

イ生産方式の合理化

 高性能林業機械の導入は進んではいるが、林内路網の基盤整備が進んでいないことから高性能林業機械による施業を実施している林業経営体や林業事業体は、いまだ少数である。

 今後、県下の水土保全林区域は民有林の85%を占め、択伐や間伐の事業量が多くなることから、高性能林業機械による作業効率を上げるためにも施業対象森林を団地的なまとまりで確保し、計画的な林道等の整備を進める。また高性能林業機械オペレーターの養成も進める。

ウ林業経営の複合化

 本県の生シイタケ、ヒラタケ等のきのこ生産は、全国でも有数の生産量を誇っている。特に、宮・庄川及び長良川流域において菌床シイタケの生産が盛んである。近年は、自動車道の整備が進んだことにより、市場が近くなるとともに、関西圏や関東圏からの観光客が増加している。このため、林業経営体においては、地域の特産品としての生産・販売を促進する。

 また、森林空間を利用した森林浴活動や山菜採取等の森林レクリエーションを観光協会、市町村及び県が連携を取りながらPRする。一方で、森林インストラクター等の人材育成を進め、林業経営体の取組みの支援に心がける。

エ経営管理の合理化

経営管理に関する研修や経営コンサルタントを活用し経営内容の改善及び合理化に取り組む。

第3木材の生産及び流通の合理化に関する目標

1木材の生産及び流通の合理化についての考え方

充実しつつある本県の森林資源を活かした木材の供給体制を確立し、「県産材時代」を招来するため、生産・流通を担う事業体の経営改善を進めるとともに、事業者間の連携強化による事業規模の拡大等生産・流通部門、安定供給等の構造改善を推進する。

 このことにより、生産量の拡大及び需要量の伸びによる収益の改善が図られ、木材価格の上昇という形で山元に還元されていくことが重要である。

 これらのことから、森林の諸機能が総合的にみて最大限発揮されるよう、各流域ごとに、森林整備水準の向上を図り、県産材産地化の形成及び造林から生産・流通に至る各段階の合理化を一体的に推進する。

2事業の経営改善に関する措置についての具体的な事項

(1)生産行程の改善

ア素材生産業においては、スギの植栽面積が多い揖斐川及び長良川流域を中心に、今後素材生産可能量が飛躍的に増大することから、素材生産コスト

 の低減を図るため、高性能林業機械の導入を含む生産性の向上に努める。

 宮・庄川流域については、広大な地形、多様な樹種、膨大な事業量等の作業条件に対応した機械化に努める。また、伐採、集運材等の作業に

 合わせた労務配置の適正化を図るとともに、森林所有者の伐採活動を推進するため、施業の集団化等による生産の効率化を推進する等生産行程

 の改善に努める。

イ木材製造業においては、木曽川、飛騨川流域を生産地とする東濃桧の優れた特長をより広くPRするとともに、品質の確保・管理方法などに

 ついて実施される東濃桧品質管理センターが行う目揃会、講習会等に積極的に参加するものとし、規格の統一化を進めることにより製品の

 高付加価値化に努める。

 各流域におけるスギについても、樹種、径級等に応じた高性能加工機械の導入、機械の合理的な組合せの推進、工場生産ラインの専門化等による

 生産行程の改善により、コストの低減に努める。

(2)経営管理の合理化

ア素材生産業においては、揖斐川及び長良川流域の木材の需要動向、樹種別の利用状況等を踏まえつつ伐採時期及び伐採方法について適切な選択を

 行い、計画的な機器の整備に努める。

 木曽川、宮・庄川及び飛騨川流域については、素材の計画的な生産を図るため各事業体が共同して施業の集団化を推進する。

イ木材製造業においては、長良川流域を中心に需要動向に即した製品の安定的かつ効率的な供給を図るため、素材及び製品の適切な在庫管理、共同

 購入、共同販売等によるコストの低減及び経営管理の合理化を推進する。

ウ木材市場その他木材の卸売業においては、集出荷施設の改善によるコストの縮減、品揃えの強化等により需要動向に応じた供給に努めるととも

 に、電子機器の導入、活用等による適切な顧客及び在庫管理を進めることにより、経営の合理化及び集中化を推進する。

(3)その他の事業の経営改善に関する事項

ア本県をはじめとして中京圏は、良質なヒノキ産地が控えており、住宅部材に対するヒノキ志向には根強いものがある。このような中、伐期を迎え

 つつあるスギの利用推進は今後の大きな課題となっている。

 そこで、関係機関においてはスギのブランド化を進めるため、製品の規格化及び競争力を備えた製品開発を目指すとともに、低コストを狙いと

 した「長良杉住宅」への新たな取組み等、木材製品の販路の確保及び拡大並びに流通の効率化を推進すべく、なお一層の粘り強い努力を続ける

 ものとする。

イ木材関連企業は、間伐材、端材等未利用資源の有効活用を図るため、素材生産業者、木材加工業者等との連携を強化しつつ、小径材、製材残材等

 を活用し研究開発した丸太杭、木製型枠(間伐材ウォール)、木製畳、チップ舗装等の新製品の需要開拓に努める。

ウ木材市場においては、増大する一般材供給力に対応するため、販売方法や原木の処理能力を高めるなどの工夫に努める。

 また、各流域においても生産、流通及び消費の連携を密にすることにより、川上から川下までの出材情報を把握し、需給動向に即した市場体制を

 整えるとともに立地条件の変化、生産及び流通の動向等から市場の配置が不適切になった場合は整備を考慮するものとする。

3木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置についての具体的な事項

(1)事業の協業化

木材の生産、加工及び流通の各部門を担う事業体の経営基盤の強化を図るため、宮・庄川流域及び長良川流域の木材団地のような異部門間で複数の事業体が出資し、共同経営を行う協業化を進め、生産性の高い設備の集積及び転換を推進する。

(2)安定的な取引関係の確立による事業規模の拡大

ア素材生産業においては、高性能林業機械の有効利用と定着化を図るため、林業労働力確保支援センターが実施するオペレーター養成等の事業を

 推進する。

 また、高度な技能者集団による伐採搬出作業等を行うといった流域ごとの拠点づくりの実現に向けて努力していくものとする。

 近年では、木材の供給において工業製品並みの安定した品質を求められていることから、山元においては葉付き乾燥を積極的に取り入れるなど

 普及活動を推進していくものとする。

イ原木を扱う木材市場においては、素材生産業者との安定的な取引関係を確立し、集荷量の確保を図るとともに、集出荷施設、仕分施設等の施設

 整備を促進して市場機能を強化して、市場の統合及び規模の拡大を推進する。

 特に揖斐川及び長良川流域においては今後スギの一般材及び間伐小径材等の取扱量が増加すると予想されるため、各流域における物流の

 簡素化及びロットの拡大を図り、市場機能の一層の合理化に努める。

 また、流通段階における現物熟覧、多段階物流からインターネットの活用等による定時・定量・定質材の直送流通体制の構築等、消費者ニーズ

 に即した面からも努力するものとする。

ウ木材製造業においては、主要消費地にある木曽川、長良川、飛騨川流域を中心に素材生産業者と原木を扱う木材市場等との情報交換を密にする

 ことにより、安定的な取引関係及び販路の確保を図ることにより事業規模の拡大を推進する。

 また、加工段階においても、高次加工機械・施設の導入を推進するとともに、JAS規格等の格付けに努め、安定した品質による製品規格の

 統一化を推進する。

エ製品を扱う木材市場及び木材卸売業においては、木材製造業者等との安定的な取引関係を確立し、安定的な集出荷量の確保を図るとともに、

 取引の改善・合理化、規格・品質・性能の均一化等を通じて流通機能を強化し、事業規模の拡大を推進し、県外最大の出荷先である中京圏を

 はじめとして、首都圏及び関西圏方面に対する県産材の供給を強化していく。

 このほか、大工後継者不足を補う工法として、今後ますますプレカット加工の需要増が予想されるので、プレカット工場との併設による

 施工現場への直送や、連携による加工あっせんなど、消費者ニーズに即応できる体制整備に努める。

(3)その他の木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する事項

木材製造業、製品市場及び卸売業においては、関連事業者との連携を強化し、製品に対する消費者ニーズ等の情報収集を行うことを通じて、ニーズに沿った製品加工の高度化、新商品の開発等を推進するとともに、県産材のブランド化、新製品の展示販売施設の設置等により木材の利用を推進する。

第4主産地の育成

 木曽川及び飛騨川流域では、東濃桧の主産地として、製材工場の大型化、専門工場化を進めるとともに、これに高次加工施設を備えた加工・供給拠点づくりの一層の整備を進める。

 また、戦後造林され、間もなく主伐期を迎える長良杉については、その受入体制が全県的な課題となっている。このためブランド化の推進、集成材・圧密加工、長伐期施業の導入等の粘り強い研究が必要である。

 他流域においてもこれらの先進的手法を取り入れ、ブランド化及び主産地化を推進していく。