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夕田茶臼山古墳[ゆうだちゃうすやまこふん]

分類 史跡
指定別
所在地 加茂郡富加町夕田字南洞692番1,698番、699番
所有者 富加町
指定年月日 平成27年3月6日

夕田茶臼山古墳

 夕田茶臼山古墳は富加町東南部の北西方向に伸びた丘陵頂部(標高127.0m)に立地する単独の古墳である。
 古墳の規模は、全長39.5m、後円部の直径24.5m、前方部の長さ15.0m、くびれ部幅10.5m、前方部全面の幅15.1m、前方部頂と後円部頂の比高は2.4mを測り、後円部が高い。古墳の平面形は、不整形な前方後円墳であり、前方部の前面に墳丘を区画する溝(幅3.0m)がある。
 古墳の築造時期は、墳丘から出土した赤彩有孔直口短頸壷や高坏をはじめとする土師器の年代観と、基盤造成面から出土した炭化物の放射性炭素年代測定結果から、3世紀前半に位置づけられる。埋葬施設は5.3mから5.5m四方の構築墓坑の中央に舟底形木棺1基(長さ2.6mから2.7m、幅1.0mから1.3m)を直接埋置する構造であり、概ね良好に遺存する。  また、発掘調査における層位学的な検討により、旧地形の様子や墳丘の築造工程が明らかになった。墳丘の造成時に尾根頂部を大きく削平し、古墳主軸は尾根の向きに合わせ、後円部は尾根先端に設定されていた。墳丘の築造工程としては、後円部においては5つの工程(地山削平、基盤造成、造成面調整、周堤状盛土、埋葬及び墳丘盛土)に復元され、後円部の基盤造成工程は前方部の墳丘盛土工程に先行することが明らかになった。墳丘の築造工程のうち、周堤状盛土は弥生時代後期の墳丘墓と類似し、盛土以前に地山の削平と基盤造成は前期古墳にも踏襲される手法である。なお、地山削平工程で溝(幅2.0m)により前方部前面の輪郭づけを行っている点は類例がなく特異である。
 夕田茶臼山古墳は、東海地域でも極めて稀な3世紀前半代の前方後円形を呈する初期古墳であり、発掘調査により旧地形や墳丘の築造工程を復元できた例として貴重である。

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