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どうじゃこう

分類 重要無形民俗文化財
指定別
所在地 関市南春日町1番地
技芸団体 春日神社文化財保護委員会
指定年月日 平成22年12月3日

どうじゃこう1どうじゃこう2 

 「どうじゃこう」(※1)は、関市の春日神社の例祭において、春日神社の能舞台上で演じられる除災招福・豊年万作を祈る中世的神事芸能である。
現在は「関祭り」の一環として4月第3日曜日に行われる。「四方(しほう)浄め(きよめ)」、「薙刀(なぎなた)振(ふ)り」、「棒振り」、「宝獅子(たからじし)」、「箕獅子(みじし)」、『どうじゃこう』、「豊年踊り」の7番で構成される。「豊年踊り」に使用される「拍子木」と呼ばれている拍板(ひようばん)に「天文6年、破損に付き新調す」(天文6年=1537)との墨書が見え、少なくともそれ以前から演じられていたと推定される。
7番立てのうち「箕獅子」までの5つの演目は、芸能というよりは祓(はら)い・浄(きよ)め・除災に重点を置く呪術的要素の強い演目、後半は五穀豊穣を祈る田楽(でんがく)芸や田遊(たあそ)び芸の系譜をひく演目と解される。その境目に6番の『どうじゃこう』と呼ばれる一種のからくり芸が挟み込まれている。
「どうじゃこう」の名称はこの6番目の演目中において「どうじゃこうなりけり、じざいなりけり」と囃すのでこの名があり、神事芸能全体の名称ともなっている。これは二体の木偶(でく)と小松明(たいまつ)を載せた箱を、一種の索縄(さくじよう)からくりで大松明に点火するという仕掛けに趣向を見せる。
この印象的な演目は、本文化財の他には、静岡県浜松市天竜区水窪(みさくぼ)町「西浦(にしうれ)の田楽」、長野県下伊那郡阿南(あなん)町新野(にいの)の「雪祭り」の二か所にのみ伝承されている。このからくりの演目をはじめとして、全体の芸態、構成などは三信遠(さんしんえん)(※2)の修正会(しゆしようえ)系の芸能との類縁性を示唆するものであり、美濃地域における中世芸能の伝播と受容のあり方、ひいては美濃地域の文化地理的位置を考察する上で重要な事例である。

(※1)神事芸能全体を示す場合は「どうじゃこう」、6番目の演目の場合は『どうじゃこう』として区別した。
(※2)三河、信濃、遠江にまたがる天竜川中流域を示す。

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