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本文

達麿[だるま]

分類 重要文化財
指定別
所在地 加茂郡八百津町八百津
所有者 大仙寺
指定年月日 昭和33年7月16日

紙本墨画達麿

 この蒙山徳異の達磨の絵は、軽妙熟達の墨絵で、面容の線は細く、輪郭線、眼、鼻、口、耳など全てことさら強弱変化を付けず、自由でしかも丸みを出した雅致に富んだ描線である。わずかに口を開いて歯を見せているあたりに親近感を感じることができる。眉毛、髭、わずかに残った後頭部の髪は、柔らかい表現で全てぼかしている。眼球、耳輪は一段と濃い墨色を用いて変化を見せ、衲衣の表現は大まかで太く、単純化して袋のように描き、一般の達磨の衣を類型化したものに似ている。線は流暢で洗練されたものである。画貌はこれも多く類型化したものが多いが、この達磨は写実に根ざして穏やかなうちに生気が溢れ、気魂があり、体全体も堂々としていて大きい感じである。
啓書記や蛇足の達磨よりはリアリスティックで外面的な強さより、内面的で悠揚として迫らないものがあり、俊厳な気に満ちている。全体の技法はしっかりとした基礎の上に立ち本格的で単なる学僧の墨絵とは異なるものである。
蒙山徳異の名は仏教辞典などには見られないが、中国における高僧で、大仙寺には蒙山徳異撰の六祖大師法宝壇経がある。

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