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木造薬師如来坐像(薬王寺)

木造薬師如来坐像[もくぞうやくしにょらいざぞう]

分類 重要文化財
指定別
所在地 可児市東帷子中切
所有者 薬王寺
指定年月日 昭和56年9月16日

木造薬師如来坐像

  • 樟材一木造彫眼
  • 像高:272.0cm台座の高さ:160.0cm

 この像は左に釈迦如来、右に阿弥陀如来を祀る三尊像の中尊で、像高が高く丈六像である。
像の造立については、つまびらかでないが、宝永6年巳丑(1709)の記録である薬王寺覚書によると、元山王社僧内の十輪院の仏像をこの地に移したことが判る。
移転する以前は長い間、小さいお堂に納められ、破損も極に達して悲惨な状態であったが、その後元禄13年(1700)、薬師如来を修復するのに続いて、同14年から15年にかけてその他の諸仏も修理された。また宝永5年(1708)9月にも修理がおこなわれた。京仏師井上左源次弟子源兵衛、ぬし屋村上長兵衛弟子3人、箔挿中村太郎兵衛が京都より来て12月5日に全ての修理が終わって帰ったことが覚書に記してある。
いずれにせよ、相当ひどく破損していたことは、現状から見て判断できる。頭部から胸、腹部に至る前面と後頭部の一部は当初で、その他は元禄年間の補作である。しかしながら残存する頭部から胸部にかけての見事な彫技は国指定文化財である美濃国分寺の薬師如来像(平安後期作)に相通じるものがあり、この頃の作例としては価値が高い。
一見童顔と思われる初々しい面相や胸の肉取りにも弾力があり、やや大ぶりの頭部は一層重厚さを増している。螺髪[らほつ]は細かく刻み肉髻[にくけい]を低めにあらわし、目鼻立ちを大振りに表現することによって落ちついた表情にまとめあげている。

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