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イタセンパラ

イタセンパラ AcheilognathuslongipinnisRegan 絶滅危惧I類
(環境省:絶滅危惧IA類) コイ目コイ科
選定理由 既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準まで減少している。 写真を拡大表示します
形態の特徴 タナゴ類の中で最も体が薄く、体高が高い。産卵期の雄は体全体が紫紅色を帯び、腹部は黒色になる。背鰭と臀鰭は外縁が黒ずみ、蒼白色の縦条が2〜3本入る。
生息環境 ワンドと呼ばれる河川敷内の池、灌漑用のため池や水路など、水草の繁茂した流れの緩やかな水域に生息する。
生態 主に付着藻類を食べる。産卵期は9〜11月で、イシガイを選んで産卵すると言われる。翌年の5〜6月に稚魚が貝から泳ぎ出て岸辺の植物帯の周縁に群れをつくる。成長に伴い水面近くから深層に移り6月中旬には岸辺から姿を消す。
分布状況 日本固有種。淀川と濃尾平野、富山平野の一部に分布する。県内では、かつて美濃平野部の各河川に生息していたが、現在では数箇所で確認されるだけである。このため、生息地は非公表とする。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 水路のコンクリート化や汚濁により母貝の減少とともに激減した。現在残された生息地では、河床低下によってワンドが本流から孤立して生息環境が悪化している。さらにオオクチバスやブルーギルによる捕食で絶滅の危機にある。
保全対策 生息地におけるブラックバスやブルーギルといった外来魚の駆除、ワンドの自然環境の保全など早急な対策が望まれる。今や絶滅寸前の状態であり、個体群を適当な施設で飼育繁殖させて維持することも必要である。
特記事項 国内希少野生動植物種、国指定天然記念物。水産庁レッドデータブック絶滅危惧種。
参考文献
  • 長田芳和(1998)イタセンパラ.水産庁(編)、日本の希少な野生水生生物に関するデータブック、pp.124-125:(社)日本水産資源保護協会.
  • 長田芳和(2001)イタセンパラ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー名鑑日本の淡水魚3版、p.370:山と渓谷社.
  • 田中晋(1997)イタセンパラ.長田芳和・細谷和海(編)、日本の希少淡水魚の現状と系統保存ーよみがえれ日本産淡水魚ー、pp.133-143:緑書房.

文責:千藤克彦

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