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ヒダサンショウウオ

ヒダサンショウウオ HynobiuskimuraeDunn 準絶滅危惧
(環境省:準絶滅危惧) 有尾目サンショウウオ科
選定理由 分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 写真を拡大表示します
形態の特徴 全長8〜15cmで地域差が大きい。紫褐色の体に黄〜黄褐色の斑紋があるが個体差が大きい。後肢の指は4趾性のものもいる。幼生には黒色の爪がある。卵嚢はバナナ型である。
生息環境 低地帯上部〜山地帯に分布する。成体は森林の林床に生息し、幼生は沢などの流水中で生育する。
生態 成体は樹林の落葉下や腐植土中で生活しており発見しにくい。2〜4月頃に源流域や比較的流れの緩やかな枝沢などで産卵する。幼生は流水生で多くは夏頃までに変態するが、越冬して翌年変態するものもいる。成体は森林の林床で生活し、冬季には沢の近くで越冬する。昆虫やミミズなどを捕食する。
分布状況 日本固有種。本州の中国地方から関東にかけて分布する。県内では美濃地方から飛騨地方にかけての山地に比較的広範囲に生息するが、平野部などでは見られず、主として自然度の高い山地に生息している。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 森林の皆伐による乾燥化と沢涸れで、成体と幼生双方の生息環境が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、そこに進入した個体が脱出できずに死亡した例もあり、その地域の個体群は激減する。近年の豪雨による幼生の生活場の崩壊も懸念される。
保全対策 生息環境として繁殖場となる渓流域と成体の生活場となる樹林といった複合した環境が必要である。皆伐など林床が乾燥する行為を避けることが望ましい。またU字溝の埋設は、極力避けるか両方向への脱出路を多数設置する。
特記事項 飛騨の名を冠する種である。
参考文献
  • 松井正文・関慎太郎(2008)カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック80pp.:文一総合出版
  • 岐阜県高等学校生物教育研究会(1974)岐阜県の動物:大衆書房
  • 内山りゅう他(2002)決定版日本の両生爬虫類:平凡社
  • 松橋利光・奥山風太郎(2002)山渓ハンディ図鑑9日本のカエル:山と渓谷社
  • 佐藤井岐雄(1978)日本産有尾類總説復刻版:第一書房
  • 松井孝爾(1985)日本の両生類・爬虫類:小学館

文責:山田和生

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