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岐阜県化学物質適正管理指針解説

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第一趣旨

 この指針は、岐阜県内において指定化学物質等の取扱いを行う事業所における化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するため、事業者が講ずべき指定化学物質等の適正管理に関する措置について定めるものである。

 事業者は、化学物質の管理及び環境保全に関する関係法令等を遵守することはもとより、この指針に留意して、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに関する状況を常に把握するとともに、事業所における指定化学物質等の取扱い実態等に即した方法により適正な管理を行い、併せてその管理の状況に関する県民の理解を深めるよう努めなければならない。

 なお、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号、以下「法」という。)」第3条第1項の規定に基づき定められた指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質等及び第二種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針(平成12年環境庁・通商産業省告示第1号。以下「法定指針」という。)の適用を受ける者は、この指針のうち法定指針で定める事項については、それによるものとする。

 また、本指針において「指定化学物質」とは、「法」の規定による第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質を指し、「法」に規定されていないその他の化学物質も含めて「指定化学物質等」という。

解説
 事業活動の高度化、生活様式の多様化等に伴い、化学物質が広範囲に使用されるとともに使用量が増加している。本指針は、化学物質による新たな環境汚染が懸念されることから、事業者自らが、化学物質の適正管理に取り組むに当たり、環境の保全上の支障を未然に防止するため、指定化学物質取扱事業者が講ずべき指定化学物質等の管理に係る措置を定める際に、留意すべき主な事項を定めたものです。

 指定化学物質等の適正管理に関する措置

 指定化学物質等の適正管理に関する措置とは、事業活動において、取扱う全ての化学物質の環境への排出を抑制するなど環境保全に配慮し、指定化学物質等を適正に管理することです。
 化学物質の取扱体制(化学物質の取扱等に係る責任者の選任、化学物質取扱施設の適正な維持管理のための作業・点検手順などの作成、従業者への教育・訓練の実施、事故防止のための対策の検討、化学物質の回収・再利用技術・代替物質の検証など)をまとめ、これを適切に運用していく必要があります。

第二指定化学物質等の管理の方法に関する事項

1.化学物質管理の体系化

 (1)化学物質の管理方針指定化学物質等取扱事業者(以下「事業者」という。)は、指定化学物質等の管理の適正化を図るための化学物質の管理方針(以下「管理方針」という。)を定めること。

 (2)管理計画の策定事業者は、上記(1)により定めた管理方針に即して、指定化学物質等の管理の改善を図るために行うべき行動に係る具体的目標を設定するとともに、これを達成する時期及び具体的方策を定めた管理計画(以下「管理計画」という。)を策定すること。

 (3)管理組織の整備事業者は、管理計画を確実かつ円滑に実施するため、指定化学物質等を取り扱う事業所等において、事業所の長から環境部門、購買部門、製造部門等全ての関係する各部門の担当者に至るまで十分な意思疎通を図るため、下記事項に留意し各部門において計画に盛り込まれた措置が確実に実施される体制を整備すること。

 化学物質に係る適正管理の責任者として管理責任者を選任すること。
 環境部門、製造部門等のすべての部門において各部門管理者を選任すること
 管理責任者及び各部門管理者の役割分担を組織図等により明らかにすること

(4)管理計画の実施

 1作業要領の策定事業者は、管理計画を実施するために必要な指定化学物質等の管理に係る措置の内容を具体的に定めた作業要領(以下「作業要領」という。)を策定すること。

 2教育及び訓練の実施事業者は、化学物質の管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することの重要性を踏まえ、指定化学物質等を取り扱う者、指定化学物質等を排出する工程に従事する者及び管理部門の従事者等全ての関係者に対して、管理方針、管理計画及び作業要領の内容を教育し、周知徹底する。さらに、これらの確実かつ円滑な達成又は実施を確保するため、その内容に係る訓練を計画的かつ継続的に実施すること。

 3他の事業者との連携事業者は、業務上関連のある事業者や同様の物質を取り扱っている他の事業者から、当該化学物質等の適切な取扱い等に関する情報の提供等の要請があった場合には、適切な情報の提供等を行うよう努めること。

(5)管理の状況の評価及び管理方針等の見直し事業者は、指定化学物質等の管理の状況に関する評価を、管理方針、管理計画及び作業要領に照らして実施する。このため、あらかじめ評価の手順及び体制を確立するものとする。
なお、評価実施後は当該評価の結果を管理方針、管理計画及び作業要領並びに実施体制に反映させることにより、これらの継続的な見直しの実施に努めること。

(6)報告指定化学物質等を取り扱う事業所にあっては、知事から要請があった場合には管理計画を報告すること。


解説
ア管理方針の内容

 指定化学物質等を適切に管理するための基本となる考え方を示す。管理方針には、指定化学物質等の使用量を抑制するための方策、取扱施設の維持管理方法、従事者の教育・訓練、県民理解を増進させる方策、指定化学物質等の性状及び取扱に関する情報の活用などについての基本的な考え方を記述します。

イ管理計画の内容

 「基本方針」に即して、指定化学物質等を適正に管理するための具体的な削減目標・達成時期及びそれを実現するための具体的方策を定めます。

ウ体制の整備

 事業者は、事業所における化学物質の適正管理を推進するために、事業所ごとに化学物質の適正管理のための管理責任者及び各部門管理者を指名するなどにより、適正管理のための組織、体制を整備します。

 管理責任者及び各部門管理者は、管理計画の実施に明確な責任を持ち、当該計画に盛り込まれた措置の実施の権限が与えられた者から選任します。

 その組織の構成及び組織の行う調査等は、下記事項を参考にしてください。

○調査事項等
・手順書の整備、管理計画の進行管理に関する事項
・化学物質の情報整備に関する事項
・化学物質の自主点検管理に関する事項
・使用する化学物質の危険性及び有害性の評価に関する事項
・化学物質の適正管理に係る従業員の教育及び訓練に関する事項
・事故時等の連絡体制、応急措置体制に関する事項
・その他化学物質の適正管理に関する事項

○管理組織の構成
・事業所の長(化学物質管理統括者)
・化学物質の管理責任者
・環境部門、製造部門等それぞれの部門管理者
・その他事業所の長が必要と認めた者

○管理責任者の選任管理責任者は事業所の実態、実情等に応じて選任します。

 公害防止統括者(特定工場における公害防止組織の整備に関する法律第3条)、危険物保安総括管理者(消防法第12条の7)、総括安全衛生管理者(労働安全衛生法第10条)など、既存の化学物質関係法令の管理者等に兼務させても差し支えはありません。

 管理責任者は、化学物質の管理に関して事業所の長を補佐し、下記の職務を行います。

・化学物質の適正管理に関する基本方針、管理計画、手順書の策定、改廃等に係る企画及び実施状況の把握に関すること。
・事故時の応急措置及び関係機関への連絡に関すること。
・化学物質の使用等に係る施設、設備の点検に関する業務に関すること。
・情報収集整備、廃棄物の適正処理、自己監視計画等の環境安全管理に関する業務に関すること。
・その他化学物質の適正管理に関する必要な調整及び総括業務に関すること。

エ管理計画の実施
○作業要領

 管理計画を実施するために必要な化学物質の管理に係る措置(指定化学物質等の取扱方法、取扱施設の点検方法、事故時の措置など)の内容を作業要領として定めます。

・施設、設備の保守点検(点検箇所、回数、方法など)
・排出監視(大気・水質などの環境を汚染する物質等の排出濃度の測定方法、回数など)
・廃棄物処理(廃棄物の保管方法、処理方法など)
・化学物質情報整理(指定化学物質等の情報整理、取扱量把握、事故事例の収集など)
・情報提供・支援(関連企業への情報提供方法、支援方法など)
・教育・訓練(従業員、関連企業等への教育、訓練)
・その他化学物質の適正管理に関して必要な事項

○教育

 事業所の規模、化学物質の種類、量、施設・整備等を考慮し、化学物質を取り扱う従業員を対象に、化学物質の適正管理に関して必要な事項を盛り込んだ教育計画を策定し、従業員教育を実施します。

 また、事業者は従業員に対して、指定化学物質等の管理の状況等に関する県民の理解を深めることの必要性について周知するとともに、県民への情報の提供、県民の意識の理解等を円滑に行うための研修を計画的に実施してください。

 従業員教育・研修の項目例は下記のとおりです。

・化学物質の適正管理意識の高揚
・社内規程類(基本方針、管理計画及び作業要領は必須)及び関係法令の周知徹底
・取り扱う化学物質の毒性、危険性等
・日常点検の実施方法等
・県民の理解の増進に関する事項
・その他化学物質の適正管理に関して必要な事項

○訓練の実施

 日頃の教育の成果を確認し、その計画の実効性を検証し、対応能力を向上させるために、様々な事態の発生を想定した訓練を実施しておくことが有効です。

・研修、演習(座学、個人ワーク)
・机上訓練、机上演習(グループワーク)
・本部運営訓練(本部活動を対象とした訓練)
・現場活動訓練(現場対処活動を対象とした訓練)

○他の事業者との連携

 他の事業者とは、指定化学物質等の納入業者、下請け業者、同業者などをいいます。

 他の事業者から指定化学物質等の適切な取扱いなどに関して、情報提供の依頼があった場合には、可能な限り情報提供に努めてください。

 このため、製品の製造事業者との連携を十分に図り、適切な取扱い等に関する情報を整備することが必要です。

オ管理の状況の評価及び管理方針等の見直し

 目標達成に向けて、管理計画や作業要領どおり適正に行われているか、指定化学物質等の管理状況などについて評価をし、評価実施後に管理計画や作業要領を見直すことが必要です。

カ報告

 県は化学物質適正管理指針の指導にあたって各事業者の管理計画の策定状況及び策定内容を把握する必要があることから、知事から要請があった場合、策定した管理計画及びその関係書類に関する報告について規定したものです。

2.情報の収集

(1)指定化学物質等の取扱量等の把握事業者は、指定化学物質等の管理の改善に資するため、指定化学物質等の取扱量等(製造量、使用量、貯蔵・保管量等)並びに指定化学物質等を取り扱う施設及び設備の設置、運転等の状況を把握し、記録すること。

(2)指定化学物質等及び管理技術等に関する情報の収集事業者は、利用可能な文献、データベース等を活用することにより、自ら取り扱う指定化学物質等の性状及び取扱い並びにその管理の改善のための技術及び手法に関する情報の収集に努めること。

また、情報を利用することにより、化学物質安全管理データシート(MSDS)等への反映など必要な管理対策を実施すること。

(3)記録の保存事業者は、この指針「2.情報の収集」の項の記録及び関連資料は5年間保存すること。

 
解説

ア取扱量等の把握

 指定化学物質等の管理の改善には、取扱量、取扱施設・設備、取扱施設の運転等の状況を把握することが必要であるため規定したものです。

 事業者は、指定化学物質等の購入量、使用量、製造量の推移及び施設の運転等の状況を把握し、それらの情報を適切に管理する体制を整備します。

 指定化学物質等の取扱状況を把握するためには、化学物質の購入量等を管理する台帳や施設整備の運転状況を管理する台帳を整備してください。

 

イMSDS(化学物質等安全データシート)

 化学物質の性状及び取扱いに関する情報が記載されており、対象物質又はそれを含有する製品を他の事業者に譲渡又は提供する際には、事前に提供することが義務付けられています。

 また、収集した情報をMSDSに反映することも必要です。

 

ウ情報の収集

 安全管理対策には、取り扱う指定化学物質等の性状、管理の改善のための技術などの情報収集が不可欠であることから規定したものです。

 指定化学物質等の販売業者等から入手したMSDSにより把握しますが、この他に必要に応じて、国や研究機関のデータベースや文献情報などを活用して必要な情報を把握します。
○基礎的情報の収集

 化学物質の使用等に伴う中間生成物、不純物、副次的生成物等も対象とし、毒性、危険性等の基礎情報を収集します。
○取扱

 化学物質の毒性、危険性、生態系への影響等に対応した取扱、運搬、保管、廃棄等の方法について調査します。
○施設、設備

 使用等の施設、設備の構造、機能のほか、環境への漏出の可能性、回収、処理技術について調査を行います。
○廃棄物の環境影響

 指定化学物質等を含む製品が、流通、使用、消費された後、廃棄物となって処理される場合の環境に与える影響について調査します。
○情報の掲示

 指定化学物質等の不適切な取扱いによる災害及び事故を未然に防止するための必要事項を取扱い箇所に掲示します。
○環境調査の実施

 事業所からの指定化学物質等の排出が周辺の環境に与える影響を把握するため、排出実態に応じて、排出口、敷地境界、事業所周辺で環境調査を実施することも必要です。

エ記録の保存

 収集した情報を記録しておきます。なお、保存期間は概ね5年間とします。

 

3.管理対策の実施

 事業者は、上記「2.情報の収集」により把握又は収集した情報に基づき、取扱う化学物質についてその有害性、物理的及び化学的性状を考慮して、保健衛生上の見地から健康及び環境への影響を最小限にするように努めるとともに、化学物質の排出量並びに排出ガス及び排出水中の濃度等を勘案し、適切な手法により下記の管理対策の実施に取り組むこと。
(1)設備点検等の実施

 事業者は、指定化学物質等を取り扱う場合には、作業要領に基づいて適正に作業を実施するとともに、指定化学物質等を取り扱う施設及び設備の損傷、腐食等による指定化学物質等の漏洩の有無等について定期的に点検し、その結果異常が認められた場合には、速やかに補修その他の必要な措置を講ずること。
(2)指定化学物質等を含有する廃棄物の管理事業者は、指定化学物質等を含有する廃棄物の発生抑制等に努めるとともに、廃棄物が運搬されるまでの間は、適正に保管すること。また、当該廃棄物の処理を委託する場合にあっては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づき適正に手続きをし、受託業者が適正に処理できるよう必要な情報を提供すること。
(3)設備の改善等による排出の抑制事業者は、指定化学物質等を取扱う施設及び設備について、下記事項に留意して、取り扱う指定化学物質等の性状及び事業所における取扱い実態に即して漏洩、揮発、浸透等の防止措置を講じることにより、指定化学物質等の大気、水、土壌への排出の抑制に努めること。

 1地下水及び土壌への浸透等の防止構造指定化学物質等を取扱う施設の床面は、適切な不浸透性の材質とし指定化学物質等の地下水及び土壌への浸透を防止することができること。さらに、必要に応じ指定化学物質等の性状に応じた被覆処理を行う等の浸透防止措置を講ずること。

 また、取り扱う指定化学物質等の量及び態様に応じて、施設の周囲に防液堤側溝を設置する等により、指定化学物質等の地下水及び土壌への流出を防止するための適切な措置を講ずること。

 2大気への揮発等の防止構造揮発性の高い指定化学物質等の取扱いにおいて、揮発又は飛散により指定化学物質等が大気へ排出される場合には、設備等の密閉構造化等により指定化学物質等の大気への排出を防止するための適切な措置を講ずること。

 3排ガス処理設備又は排水処理設備の設置燃焼又は揮発等により指定化学物質等が大気へ排出され、又は排水等に含まれて公共用水域等へ排出される場合には、その排出量及び濃度等の状況に応じて排ガス処理設備又は排水処理設備を設置すること。

 4施設及び設備の維持及び管理指定化学物質等を取り扱う施設及び設備(配管等を含む。)は、地上に設置する等、その維持及び管理が容易に実施できる構造とすることが望ましい。

 5非意図的生成物の排出抑制非意図的に生成され、その存在が明らかな指定化学物質等については、できるだけ発生量が減少するように努め、排出を抑制すること。


解説

 事業者は、取り扱う指定化学物質等について、その有害性、物理的・化学的性状、排出量や排出ガス及び排出水に含有する濃度等を勘案し、適切な手法で化学物質の排出削減に取り組むことが必要です。

 

ア設備点検等の実施

 定期点検によって、施設や配管などの損傷や腐食等による指定化学物質等の漏えいなどを早期に把握し、速やかに補修や調査などの必要な措置を講ずることが重要です。

 危険物については、消防法及び危険物の規制に関する政令等により定期点検の実施について、対象となる施設、点検実施時期、点検事項等が定められていますが、指定化学物質等の使用等に係る施設、設備についても、これらの規定を参考にして下記の事項に十分留意し、点検検査を実施する必要があります。

○いつ 点検周期と実施時期
○どの施設を 点検施設、設備
○どこを 点検項目と点検基準
○誰が 点検の実施者
○どのように 点検、試験の方法
○どうするか 結果の判断、改善
○その他 記録の作成、保存

イ指定化学物質を含有する廃棄物の管理

 指定化学物質等を含有する廃棄物の発生抑制に努めることが重要です。発生した廃棄物については化学物質の性状及び特性を踏まえ、大気中への揮発防止や土壌・地下水への浸透防止など適正に保管する必要があります。

 廃棄物の処理委託にあたっては、含有する指定化学物質等の種類・量・その取扱など必要かつ適切な情報を委託業者に提供することが必要です。
○再資源化、減量化

 廃棄物に含まれる指定化学物質等の毒性、性状等を考慮し、系統的な分別を行い、回収、再利用(燃料や他用途への加工等)による再資源化、焼却等による減量化を行います。

 また、容器等のリサイクルを行う場合は、内容物の焼却、洗浄等を実施し、安全性を確認した後に行います。
○委託処理

 廃棄物に含まれる化学物質の毒性、性状等を把握したうえで、関係法令及び下記の事項を遵守し、委託処理を行います。
・処理業者の許可証により許可の内容を確認し、併せて処理能力に余裕があることを確認します。
・廃棄物に含まれる指定化学物質等の名称、毒性、性状等の適正処理の確保に必要な情報を廃棄物処理業者等へ提供します。
・産業廃棄物処理業者と適切な契約を締結し、マニフェスト制度により適正処理の確認を行います。

 また、定期的に処理の現場の確認を行い、委託内容の履行状況の把握に努めます。

ウ排出の抑制

 指定化学物質等の性状を考慮し、その取扱作業に伴う漏えい、揮発、浸透等の実態に対応した防止措置を講ずることにより、大気や土壌・水など自然環境への排出の抑制が必要です。

 指定化学物質等を取り扱う施設の密閉化の実施
 指定化学物質等の飛散、蒸発を防止する設備の設置
 指定化学物質等を回収し、再利用する設備の設置
 指定化学物質等の事業所外への流出を防止するための設備の設置
 指定化学物質等の地下への浸透を防止するための床面の構造、材質の確保
 排出ガス及び排水を処理するための処理設備の設置
 指定化学物質等(廃棄物を含む)を適正に保管するための設備の設置
 指定化学物質等の環境への排出状況を把握するための設備の設置

 なお、設備の設置その他の措置にあたっては、法令の規制基準等を遵守できる性能を有するように行うとともに、その性能を維持するため、作業前の作動の確認、運転状況の日常点検、機器類の定期点検その他の適切な保守管理を行うことが必要です。

第三指定化学物質等の使用の合理化に関する事項

1.工程の見直し等による使用の合理化事業者は、下記事項に留意して、事業所における取扱い実態に即した措置を講ずることにより、指定化学物質等の使用の合理化対策の実施に努めること。

 (1)製品等の歩留まりの向上事業者は、指定化学物質等を含有する原材料または製品の歩留まりの向上による指定化学物質等の使用の合理化を図るため、工程の見直しその他の必要な措置を講ずること。

 (2)回収及び再利用の促進事業者は、排出量又は濃度等の状況に応じた適切な構造及び処理能力を有する回収設備の設置その他の必要な措置を講ずることにより、指定化学物質等の回収及び再利用を図ること。

 
解説

 事業者は、作業工程の見直しや設備の改善等による指定化学物質等の使用の合理化に努めます。

 この他、指定化学物質等を有効に利用するため、回収率の向上・再利用の徹底等の合理化を図ることも必要です。

 

2.有害性の少ない代替物質への転換及び代替技術の導入事業者は、化学物質による環境負荷の低減、作業環境の改善及び事故の発生の防止するため、作業方法の改善及び変更、有害性の少ない代替物質の使用、及び物理的手法等の代替技術の導入を図ること。

 
解説

 使用する指定化学物質等の危険性及び有害性を評価し、作業工程の合理化や有害性の少ない化学物質への代替に努めます。

 新たな指定化学物質等を導入するにあたっては、指定化学物質等に関するデータを検討し、環境安全の対策を確保することにより、導入等の可否を総合的に評価します。

 具体的な評価にあたっては、下記の事項の検討を行います。
○代替化学物質の可能性
○使用等の工程における代替製造法等の可能性
○排出物、廃棄物の回収、再生、処理の確保

第四指定化学物質等による事故の防止対策に関する事項

 

1.事故の防止対策事業者は、指定化学物質等による事故の未然防止に努めるとともに、万一、事故が発生した場合を想定し、あらかじめ薬剤、資材等を準備するなど、指定化学物質等の事故による環境汚染を回避するための必要な対策を講ずること。

 (1)施設、設備の配置事故の発生及び拡大の防止に配慮した施設、設備等の立地及び配置に努めるととともに、耐震性、防火性等災害に強い構造とするよう努めること。

 (2)施設、設備の構造施設、設備等は、亀裂等の異常を容易に点検できる構造とすること。

 (3)保守点検施設、設備等の保守点検を定期的に実施し、機器の作動状況や異常の有無を記録するとともに、異常が認められた場合には速やかに補修その他必要な措置を講ずること。

 (4)貯蔵施設の管理貯蔵施設については、その貯蔵状況を容易に点検できるような設備を設けるとともに、貯蔵施設からの流出を防止するための防液堤等の設備を設けること。

 (5)バルブ等の管理バルブ類等については、適切な操作ができるように表示を行い、誤動作を防止すること。

 (6)指定化学物質等の表示事業者は、指定化学物質等を取り扱う容器、配管その他の設備に、取扱う化学物質の種類が容易に識別できるよう名称、記号等を表示すること。
また、その化学物質のハザード情報を併せて表記し、事故時の適切な対処方法が解るようにすること。

 解説

 

ア事故の未然防止

 事故とは、火災、爆発、労働災害等だけではなく、通常の作業工程ではおこらない化学物質の漏えいや流出等の異常な状況を含んだものを想定します。このような事故による環境汚染を防止するためには、事故そのものを未然に防止することが重要であり、適切な体制整備及び事故発生時の適切な措置により、環境汚染を最小限にとどめることが必要になります。

 また、事故時の対策がたててあれば、人為的には不可避な地震、水害等の自然災害が発生した場合にも、環境汚染被害の発生を減らすことにつながります。

 

イ必要な対策

 指定化学物質を取り扱う施設等において、日常的に適正な点検を実施することにより異常を早期に発見し、事故の未然防止を図ります。具体的な事例として、下記に掲げることが考えられます。

(1)施設、設備は耐震性、防火性等災害に強い構造にするとともに、排ガスや排出水中の指定化学物質の回収、除去及び処理のための技術や設備導入に務めます。
事故発生時の対策として指定化学物質に対する中和剤等の薬剤及びオイルフェンス、オイルマット等の資材・機材を準備します。

(2)指定化学物質を取り扱う施設及び設備(配管等を含む)は、できるだけ地上に設置するようにし、やむを得ず地下に埋設する場合は地下ピットを設けるなど、目視点検等が容易にできる維持管理が容易な構造にします。

(3)点検表を利用するなど、機器の作動状況や漏えい等が発生しやすい箇所を定期的に点検します。

(4)貯蔵や取扱い施設の周囲に、防波堤、側溝などを設けます。

(5)作業者の誤作動を防止するため、バルブ類等に表示(種類、流れ方向、開閉など)します。

(6)作業者の注意を促すよう、その施設で使用している指定化学物質について表示(物質名、成分、購入先等)するとともに、その化学物質の危険性や接触、吸入した際の応急処置について併せて表記し、事故時に速やかに対処できるようにします。

 

2.事故対策マニュアルの整備事業者は、指定化学物質等に関わる事故が発生した場合の環境汚染の拡大を防止するため、下記に掲げる事項について、事故の内容を想定してマニュアルを整備すること。
なお、マニュアルの整備にあたっては、あらかじめ事業所周辺の状況を十分に把握して、人の健康又は生活環境に係る被害が最小限となるよう配慮すること。
(1)  事故発生時の事業所内における指揮命令系統及び連絡体制
(2)  事故発生時の関係機関及び近隣の居住者等への通報体制
(3)  事故発生時の応急措置及び汚染拡大防止策の実施方法

 
解説

ア事故対策マニュアル

 万が一の事故に備えて、指揮命令系統、事業所内の連絡体制、関係機関への通報体制等を確保するために、事故対策マニュアルを整備し、関係者がいつでも見ることができるようにします。

イ事業所周辺の状況

 付近住民はもとより、子ども等への健康被害が生じることがないよう、周辺の学校、保育所、病院、公園などの施設へも通知できるよう、地域の状況を把握しておくことが大切です。

 また、事故が発生した時を想定して、化学物質が周辺(大気、地下水等)に及ぼす影響範囲についてシミュレーションしておくことも大切です。

 

3.事故発生時の対応

 事業者は、指定化学物質等に係る事故にあっては、消防法等関係法令の規定により対応することはもとより、大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第17条第1項水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第14条の2第1項並びに岐阜県公害防止条例(昭和43年岐阜県条例第35号)第59条の7に規定する事故以外の事故にあっては次に定める措置を講ずること。

(1)

応急措置の対応

 事業者は、指定化学物質等に係る事故が発生したとき又は発生するおそれがあるときは、直ちに応急の措置を講じ、かつ、その事態を速やかに復旧するよう努めること。

(2)

措置対応の報告

 事業者は、当該事故により、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その事故の状況を県及び関係機関に通報するとともに、応急措置の完了後、講じた措置の概要を知事に報告すること。
また、近隣の居住者の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあるときは、直ちに近隣の居住者に広報等をし、必要に応じて避難誘導等を行うとともに応急措置の完了後、講じた措置の概要を速やかに知事に報告すること。

(3)

事故に対する恒久対策

 事業者は、発生した事故に対して事故の原因や措置対応の状況を整理・評価し類似した事故発生を予防するために必要な恒久対策を講ずること。

 恒久対策は、可及的速やかに実施することとし、その内容を管理計画等に反映させること。

 解説
 万が一、指定化学物質に係る事故が発生した場合には、事故対策マニュアルに基づき、その物質の性状に応じて健康や周辺環境への被害を最小限にとどめるよう必要な応急措置を行い、事態を速やかに復旧させることが必要です。

 また、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その事故の状況を県に通報するとともに、応急措置の完了後、講じた措置の概要を知事に報告することを求めています。

 さらに、事故の発生をその後の事業活動の教訓とするために、事故の発生原因や措置対応の状況を整理・評価して、同様な事故の発生を防止するための恒久的な対策を講ずることが必要です。この対応は、事故の処理後速やかに行い、管理計画等に反映させます。

4.教育及び訓練の実施事業者は、化学物質のリスクを把握し、指定化学物質等に係る事故の発生により人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあることを指定化学物質等を取り扱う全ての関係者に周知すること。
また、事故の防止及び事故発生時の対応について、第二の1(4)2「教育及び訓練の実施」時に併せて実施するなど適切に対応すること。

 解説
 事故対策マニュアルの実効性を担保するために、繰り返し教育を行い関係者に周知徹底することが必要です。
特に、事故発生時に迅速な初動体制を確立し、的確な応急対策をとることは、被害を最小限に軽減するために重要なことです。日頃から実践的な対応力を身につけておくためにも、様々な状況を想定した訓練を定期的に行うことが必要です。従業員等全ての関係者に対して、定期的に実施される社内研修・講習及び防災訓練の際に併せて実施してください。

第五指定化学物質等に関する県民の理解の増進に関する事項

1.情報の提供等
事業者は、事業活動の内容、指定化学物質等の事業所内における管理の状況、指定化学物質等の排出状況等に関し、報告書の作成及び配布、ホームページへの掲載、リスクコミュニケーションの実施等による事業所周辺住民等への情報の提供等に努めることにより、県民の理解の増進を図ること。

(1)

体制の整備等

 事業者は、指定化学物質等の管理活動に対する県民の理解を深めるため、必要な情報を自ら適切に提供するための窓口を明確にする等、その体制を整備すること。

(2)

情報の提供

 事業者は、指定化学物質等の排出状況を含め、事業活動の内容、指定化学物質等の事業所内における管理の状況等に関し、報告書の作成及び配布、ホームページ等での情報公開に努め、地域社会の理解が得られるように努めること。

(3)

人材の育成

 事業者は,指定化学物質等を取り扱う従業員に対して、県民への情報の提供及び県民の意識を理解するための手法等に関する教育及び訓練を実施し、人材の育成に努めること。

 
解説

 化学物質の環境リスクを管理するためには、正確な情報を事業者、県民、行政等が共有し、相互に意思疎通を図ることが必要になります。

ア情報公開の体制整備

 事業活動に伴う指定化学物質に関する情報を地域住民と適切に共有して、事業活動に理解を深めてもらうためには、正確な情報を提供することが必要です。

 事業者自らが事業活動の内容や指定化学物質等の排出量などについて、ホームページに掲載したり、周辺住民への会社見学会や説明会開催など積極的なリスクコミュニケーションの実施に努めましょう。

イ情報の一元化

 県民からの問い合わせ等への対応も、信頼関係を築く大切な場面となります。「たらい回し」にならないよう窓口を明確にし、問い合わせの内容を整理・分析し明らかになった問題点を把握・検討できるよう体制整備をします。

ウ人材の育成

 事業者は、県民が求めている情報を正確に分かりやすく提供できるよう、専門的な知識や説明の方法などを身につけた人材の育成に努めなければなりません。

 そのために、指定化学物質を取り扱う従業員に対して、研修会などを開催して下記事項について教育及び訓練を実施します。

(1)指定化学物質等の管理の状況に関して住民の理解を深めることの必要性

(2)住民への情報提供、住民の意識に関する理解等を円滑に行うための手法

(3)その他化学物質の管理の改善を促進するために必要な技能

 

2.リスクコミュニケーションの推進
(1)地域社会との連携

 事業者は、事業所の新設、増設その他の事業活動を行うに際し、地域社会の理解が得られるように努めること。
(2)リスクコミュニケーションの実施

 事業者は、上記「1(2)情報の提供」で作成した報告書等を活用して、住民、行政との情報共有を行うことを目的としたリスクコミュニケーション(事業所の見学会、事業説明会の開催等)を実施することにより、地域社会と積極的に交流し、相互理解が形成されるように努めること。

 
解説

 身近にある化学物質に関する関心が高まっている中で、県民が不安を感じるのは正確な情報が提供されていないと感じることです。積極的に情報を提供することは「化学物質のリスク管理に積極的に取り組んでいる企業」であることをアピールすることになります。

ア日常的な対話の実施

 地域住民との日常的な対話を通じて、信頼関係を構築することが重要です。事業活動を行う際にも、早めに情報提供することで事業者だけでは気づかなかった問題点が分かるようになり、問題が大きくなる前に対処することが可能になります。

イ地域住民とのリスクコミュニケーション

 リスクコミュニケーションとは、環境リスクなどの化学物質に関する情報を市民、事業者、行政等のすべてのものが、共有し、意見交換などを通じて意思疎通と相互理解を図ることです。化学物質による環境リスクを減らす取り組みを進めるための基礎となるものです。

 1回のリスクコミュニケーションにより意見や認識の違いが必ずしも合意されるわけではなく、関係者の対立的な関係が解消されるとは限りません。継続した情報提供や意見交換によって、関係者相互の理解と信頼のレベルを上げてリスク低減に役立てることが重要になります。

 まずは、地域住民が参加しやすいイベントの開催などを通じて、地域住民との交流を図ります。
○夏祭りなどのイベントの開催
○スポーツ施設などの施設の開放
○事業所見学会の実施
○事業所説明会の実施
○事業活動や環境影響などに関する対話集会

 

3.情報の活用

 事業者は,指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の効率的な活用を図るため、データベースの構築その他の適切な情報提供手段を講ずるとともに、指定化学物質等を取り扱う全ての関係者に対し、その周知徹底を図ること。

 
解説

 指定化学物質等の取扱いにあたっては、その化学物質の性質や毒性などの化学的性状に関する情報を化学物質を取り扱う全ての関係者に周知徹底し、統一した管理を行う必要があります。

 データベースとは、取り扱う指定化学物質等を適正に管理するため、MSDSなどにより集められた化学物質の有害性や危険性、代替物質への可能性、回収及び再利用設備のデータなどの情報を、いつでも使用できるように整理・集積したものです。

 次のような事項に関する情報の収集に努めてください。
○関係会社から提供される化学物質の情報
○環境省や経済産業省等が提供する情報
○利用可能な文献の情報
○取り扱う化学物質の一般的な性状等の情報
○取り扱う化学物質の管理改善のための技術及び手法等の情報

第六県の役割

 

1.事業者に対する普及及び啓発

 県は、事業者の指定化学物質等の適切な管理に関する取組状況を把握するとともに、この指針の普及及び啓発に努めるものとする。
2.情報の収集、整備

 県は、指定化学物質等の適切な管理に関する情報の収集、整備及び提供に努めるものとする。
3.指針の見直し

 県は、必要に応じて本指針の見直しを行うものとする。

 
解説

 県は、事業者による自主的な化学物質の適正な管理を推進するため、次の取組を実施するなど本指針の普及・啓発、本指針に基づく化学物質管理の実施状況の把握、化学物質に関する情報の収集・整理に努めます。
○法律や指針を周知するための研修会の開催
○国の動向に関する情報提供(ホームページの活用など)
○事業者の化学物質管理への取組状況の把握(アンケート調査の実施等)
○県で実施した調査等の公表(ホームページの活用など)

 また、県は、化学物質の知見の向上や社会情勢の変化等に応じて、対象となる化学物質や管理内容について必要な見直しを行います。

附則

この指針は、平成21年4月1日より施行する。