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適正な保管管理

毒物劇物の適正な保管管理

はじめに

 私たちの日常生活において、化学物質は、農薬や工業用薬品などに姿を変え、深い関わり合いを持っています。このように社会にとって非常に有用な化学物質のうち、毒性の強いものは、毒物及び劇物取締法により毒物又は劇物として指定され、保健衛生上の危害を未然に防止することを目的として、様々な規制がなされています。
 毒物及び劇物取締法は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的としており、毒物及び劇物の製造業者、輸入業者、販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)及び特定毒物研究者のほか、業務上、毒物又は劇物を取り扱う者(以下「業務上取扱者」という。)に対して、必要な規制が行われています。

毒物及び劇物の定義

「毒物」とは、別表第1に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
「劇物」とは、別表第2に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
「特定毒物」とは、毒物であつて、別表第3に掲げるものをいう。
 ※「別表」とは毒物及び劇物取締法別表をいう。

業種別比較

業種

事務種別

登録権者/届出先

取扱責任者
設置の要否

製造業・輸入業

登録

地方厚生局
(都道府県知事)

販売業

一般販売業

登録

都道府県知事
(保健所設置市の市長又は特別区の区長)

農業用品目販売業

特定品目販売業

業務上取扱者

届出要業種※1

届出

都道府県知事

その他の業種※2

なし

-

-

特定毒物研究者

許可

都道府県知事

 ※1法第22条第1項の規定により、以下の業種が該当します。

  • シアン化カリウムを取扱う金属メッキ業及び金属熱処理業
  • 砒素化合物を取扱うしろアリ防除業
  • 毒物劇物運送業(毒物劇物の種類、量による)

 ※2法第22条第5項の規定により、毒物又は劇物を業務上取り扱う者(※1の業種を除く)が該当します。

  • 試験研究機関
  • 学校
  • 農薬を取り扱う農家

など

危害防止規定の策定

 毒物劇物により発生する危害は、毒物劇物の種類や取扱う場所等により異なります。
 以下に述べる規定を順守し、危害の発生を未然に防ぐために、実情に応じて「毒物劇物危害防止規定」を策定し、毒物劇物の適正な保管管理を行ってください。
 業務上取扱者のうち、届出が不要の者に対しても以下の規制は適用されます。
【関係条文】
法第22条第5項(業務上取扱者)
 第11条、第12条第1項及び第3項、第16条の2並びに第17条第2項から第5項までの規定は、毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び第1項に規定する者以外の者であつて厚生労働省令で定める毒物又は劇物を業務上取り扱うものについて準用する。
法第11条(毒物又は劇物の取扱)
 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
(対応例)

  • 毒物劇物は専用の保管庫に保管し、保管庫は施錠する。
  • 保管庫の鍵の管理を徹底する。
  • 敷地境界線から離れた所に保管する(一般の人が近づけない措置を講ずる。)。
  • 購入量及び使用量と保有量(保管量)の確認を行う。

など
2毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物又は毒物若しくは劇物を含有する物であつて政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、若しくはしみ出、又はこれらの施設の地下にしみ込むことを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
3毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外において毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
4毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は厚生労働省令で定める劇物については、その容器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。
(対応例)

  • タンク等で保管する場合には、周囲に防液堤を設ける。
  • 転倒、転落又は衝撃が加わることにより容器が破損し、毒物劇物が流出等することのないように保管場所及び保管方法を考慮する。
  • 運搬時の荷崩れ等により容器が破損し、毒物劇物が流出等することのないように運搬方法を考慮する。
  • 専用の容器を使用し、その他の容器への移し替えはしない。やむを得ず移し替えて使用する場合には、放置しない。

など

(事故事例)

  • 大学研究室からシアン化カリウム(青酸カリ)が盗難
  • 車両による運搬中、休憩のため車両を離れた際に盗難
  • 腐食によりタンクから流出、防液堤はあったが、基礎にヒビが入っていたため地下浸透し河川へ流出
  • 手を滑らせて容器を落とし、ガラス瓶が破損、流出
  • 毒物劇物(農薬)を希釈するためペットボトルを利用、子供が誤飲

など
第12条(毒物又は劇物の表示)
 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。
2(略)
3毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
 製品ラベル等の劣化により成分名等が消えている、ラベルが剥がれている又はラベルと中身が異なることは事故の原因となるため注意が必要です。
第16条の2(事故の際の措置)
 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若しくは劇物又は第11条第2項に規定する政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出、しみ出、又は地下にしみ込んだ場合において、不特定又は多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。
2毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。

  • 事故により流出等した場合→保健所、警察署、消防機関に連絡(届出)
  • 盗難、紛失の場合→警察署に連絡(届出)

第15条(廃棄)
 毒物若しくは劇物又は第11条第2項に規定する政令で定める物は、廃棄の方法について政令で定める技術上の基準に従わなければ、廃棄してはならない。

  • 法第15条の2については、法第22条第5項において準用されておりませんが、この規定は、全ての毒物劇物を廃棄しようとする者に適用されるものです。
  • 技術上の基準は、毒物劇物の種類に応じて定められており、希釈、中和、加水分解、酸化還元、焼却等があります。
  • 毒物劇物の廃棄を行うためには、毒物及び劇物取締法だけではなく、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び下水道法等の関係諸法令の規制にも留意してください。

第17条(立入検査等)
(略)

参考

厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室のホームページ<外部リンク>
取扱う毒物劇物の特性を調べるためには、以下のホームページ等を参考としてください。
国立医薬品食品衛生研究所<外部リンク>

<外部リンク>