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損失補償の内容

記事ID:0008868 2017年7月12日更新 用地課 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

 土地等の収用又は使用に伴って土地所有者及び関係人が受ける損失は、収用委員会の裁決で決められたとおりに、起業者が補償します。土地に対する補償や、土地に関する所有権以外の権利に対する補償等があります。以下、補償の仕方や内容について説明します。

損失補償についての原則等

 収用委員会が裁決する損失補償には以下の決まりがあります。

  • 個別払の原則
    損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別になされます。ただし、抵当権者への補償があるなど、各人別に補償額を見積ることが困難な場合を除きます。
  • 損失補償の方法
    損失の補償は、原則として金銭により行われます。例外として、替地による補償、移転の代行による補償なども認められています。
  • 当事者主義
    収用委員会は、起業者、土地所有者及び関係人が申し立てた範囲内で、損失の補償額を裁決します。従って、収用委員会が妥当と認定した額と、裁決額は異なる場合があります。

 算定の例

土地所有者の申立額100万円
起業者の見積額90万円
収用委員会の認定額80万円

収用委員会の認定額が起業者の見積額を下回ったため、起業者見積額90万円が裁決額となる。

土地所有者の申立額110万円
収用委員会の認定額100万円
起業者の見積額90万円

収用委員会の認定額が土地所有者の申立額と起業者の見積額の間であるため、収用委員会認定額の100万円が裁決額となる。

収用委員会の認定額90万円
土地所有者の申立額80万円
起業者の見積額70万円

収用委員会の認定額が土地所有者申立額、起業者見積額のいずれも上回ったため、土地所有者の申立額80万円が裁決額となります。

損失補償の種類

 損失の補償には、大きく分けて、権利取得裁決で決められる「土地に関する補償」と、明渡裁決で決められる「明渡しに関する補償」の二つがあり、損失の補償の判断基準として、土地収用法第八十八条の二の細目等を定める政令」が定められています。

1.土地に関する補償

 土地所有者には、土地に対する補償を、関係人には借地権など所有権以外の土地に関する権利の消滅に対する補償を算定します。また、その他に残地に対する補償などがあります。

土地に対する補償

 土地の収用の場合は、収用する土地の対価に当たる補償で、近傍の類似した土地の取引価格などを考慮して算定します。
 また、土地の使用の場合は、使用する土地の地代に当たる補償となり、近傍の類似した土地の地代や賃料等を考慮して決定されます。

土地に関する所有権以外の権利に対する補償

 土地の収用により、借地権など土地に関する所有権以外の権利が消滅する場合に、関係人に対して行われる補償で、権利の取引価格や契約内容などを考慮して算定します。
 なお、抵当権消滅などの補償は、個別に見積もることが困難なので、土地所有者に対する補償に含まれるのが通常です。
 また、土地の使用の場合は、起業者の土地の使用により、土地に関する所有権以外の権利が制限されるときなどに、当該権利の行使が妨げられる程度に応じて算定されます。

残地に対する補償

 同一の土地所有者に属する一団の土地の一部が収用されることにより残地が生じる場合の補償です。残地に対する補償には下記のものがあります。

(1)残地補償

 残地の形状が悪化したり、面積が過小となるなど、残地の価格が低下し損失が生じたときに、元の価格との差額が補償されます。

(2)残地収用

 残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、土地所有者は残地の全部の収用を意見書により請求することができます。(※注)

(3)残地の工事の補償

 残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築もしくは修繕又は盛土もしくは切土をする必要が生じるときは、これに要する費用が補償されます。
 また、この補償の全部又は一部に代えて、起業者が当該工事を行うことを意見書で要求することもできます。(※注)

土地の使用に代わる収用の請求

 土地の使用の場合、その使用が3年以上にわたるとき、その使用によって土地の形質を変更するとき、又は使用する土地に土地所有者の所有する建物があるときは、その土地の収用を意見書により請求することができます。(※注)

替地による補償

 土地所有者又は関係人は、土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の全部又は一部に代えて、替地による補償を意見書で要求することができます。(※注)
 ただし、損失の補償は金銭補償が原則であり、金銭補償では代替地の取得が難しく、代替地を取得しなければ従前の生活や生計が維持できないなどの特別な事情がないと、替地による補償は認められません。

 これらの補償金の額は、原則として、事業認定の時点における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応じた法定の修正率を乗じて算定されます。

2.明渡しに関する補償

 建物等の物件の移転料や、通常受ける損失の補償を算定します。

移転料の補償

 収用又は使用される土地に建物などの物件があるときは、これを他に移転するための費用が補償されます。この費用は、通常妥当と認められる移転先に、通常妥当と認められる移転方法によって移転するのに要する費用として算定されます。
 物件の移転については、以下の請求又は要求を意見書によりすることができます。(注※)

  • 物件が分割されることにより、その物件全部を移転しなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その所有者は、全部の移転を請求することができます。
  • 物件を移転することが著しく困難であるときや、物件を移転することにより従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、その所有者は、物件の移転に代わり、物件の収用を請求することができます。
  • 物件の所有者は、物件を移転するための移転料の補償に代えて、起業者がその物件を移転することを要求することができます。

通常受ける損失の補償

 営業上の損失の補償、その他土地を収用又は使用することによって通常生ずる損失が補償されます。

 これらの補償金の額は、明渡裁決時の価格で決定されます。

留意事項

 (注※)に記載の請求又は要求は、意見書により請求し、又は要求をする必要があります。
 また、その請求又は要求が必ず認められるわけではありません。

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