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外国人児童生徒向け教育環境の整備に対する意見書

記事ID:0026179 2020年3月17日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

外国人児童生徒向け教育環境の整備に対する意見書

 昨年9月に、文部科学省は、国内に住む義務教育相当年齢の外国籍の子供の就学状況に関する初の全国調査の結果を公表し、全国で約2万人の子供が就学不明となっていることが判明した。
 不就学の背景には、子供や保護者が日本語を十分理解できないことや、行政による日本語指導などの就学支援にばらつきがあることなどが指摘されている。
 外国籍の子供が学校に行かないまま成人すれば社会で孤立する要因となる。そしてその影響は社会保障など各方面に及ぶことから、外国籍の子供のための教育支援は、当人はもとより社会全体の利益につながるものといえる。
 文部科学省による平成30年度の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」によれば、岐阜県内における日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の在籍数は1,596人と、平成20年度の1,050人から約1月5日倍に増加している。
 今後、日本に定住し、日本社会の一員として社会を支えていくこととなる外国籍の子供が日本社会で適応していくための基礎となるのは教育であり、日本語能力である。
 しかし、現在行われている外国人児童生徒向けの適応指導や日本語指導は、教員が不足しているため、県内の集住地域であっても、正規教員ではなく、非常勤講師や多くの市民ボランティアに支えられているのが現状である。
 また、近年の岐阜県内における外国人の居住傾向には、集住化から散在化への変化がみられ、これまでに主として集住地域で蓄積されてきた試行錯誤や経験を基盤に、散在化や多様化にも対応した、よりきめ細かな教育施策の確立が目指されなければならない時代となりつつある。
 こうした状況を踏まえ、国においては、外国人児童生徒向けの就学状況の把握や教育機会の確保のための支援について地方に対応を迫るだけでなく、本来ならば国の責務及び負担により実施すべきことまで地方に押しつけることのないよう、次の事項について取り組むことを求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  1. 外国人児童生徒への日本語指導に対応するため、教職員定数の改善に向けて、基礎定数化を確実に実施すること。
  2. 外国人児童生徒向けの適応指導や日本語指導の充実のため、国の責任において、日本語指導を担当する教員等の資質向上に必要な支援を行うとともに、母語のわかる相談員や支援員等の配置の充実等のための財政措置の拡充を図ること。
  3. 不就学の外国人の子供が支援を得られないまま放置されることがないよう、就学を確実にするための適切な対応策を検討し、対応を地方任せにしないようにすること。

令和2年3月18日

岐阜県議会議長

(送付先)
 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、内閣官房長官