みなさんこんにちは。受講者インタビュー担当の人材 育郎(じんざい いくろう)です。
とうとう10月を迎え、秋全開のこの頃です。ちょっと前までの猛暑がウソのよう。今年から導入されたスーパークールビズが9月いっぱいで終わり、すっかりポロシャツ出勤に慣れていたこの体が、ネクタイを締めることを拒むのでございます。首の違和感がハンパない。
職場のあちこちでも、「このままスーパーウォームビズをやって、タートルネックセーター出勤を認めてくれー」といった会話がなされています。
参考まで、「スーパーウォームビズ」をネット検索したら、提唱している企業はたくさんあるんですね。でもそれは、膝にブランケットを掛けたり、保温性の高い下着を着よう、ということで、ネクタイせずにセーター着よう、ということではないようです。残念!
あ、でも、うちの職場には、9月半ばから、早々とスーパークールビズを切り上げ、スーツ・ネクタイをビシッと着込んで仕事しているスーツフェチがいます。彼のまわりだけ、たしかに職場の雰囲気が引き締まってました。
10月になると、我々県庁で働く職員は、来年度に向けた予算編成という、重くて先の長ーい仕事が始まります。
さあ、服装だけでなく、心もちゃんと衣替えしてがんばるとしますか。

・・・・という前置きとは全っ然関係なく、先日、木工芸術スクールの取材に行ってきたので、そのレポートを紹介します。
岐阜県には、県立の職業訓練校が2つあって、1つは高山市の木工芸術スクール、もう1つは美濃加茂市の国際たくみアカデミーです。2年前に、このホームページを立ち上げたとき、早々と国際たくみアカデミーの取材インタビューを実施して掲載したのですが、なぜかその後、木工芸術スクールには行かないまま、今の今まで時間が流れてしまいました。
とうとう先日、木工芸術スクールの校長から、「おい、育郎ちゃんよ。いつになったら取材に来るんや?」と凄まれ、大慌てて飛んでいったという次第です。
(国際たくみアカデミーのインタビュー記事は こちら(その1) と こちら(その2) からご覧ください)

さあ、やってきました木工芸術スクール。玄関をくぐると、生徒の作った模型作品と、書の展示がお出迎えです。「重尊能技」・・・。じゅうそんのうぎ? 孔子様の言葉か何か? と、思ったら、「 技能尊重 (ぎのうそんちょう)」 じゃないかっ。右から左へ読むのね。
この学校には木工・建築意匠科があります。木工家具職人になるための木工コースと、建築大工になるための建築コースに分かれていて、いずれも1年間、みっちりと勉強します。
まずは木工コースから覗いてみましょう。確か木工コースの訓練生は18名。「お邪魔しまーす」

ん?木の板にニスか何かを塗りつける実習をやっているようです。

皆さん、慎重な面持ちで、素早く丁寧にハケを動かしています。
育郎:「すいません。ちょっとそのハケ、触らせてもらっていいですか」
訓練生:「触らないでっ!これ、漆(うるし)だから素手で触るとかぶれますよ!」
ひえええええー。
訓練生:「今、拭き漆(ふきうるし)の実習中なので、終わるまで、しばらく離れていてもらえます?」
かぶれてはたまらん。実習が一段落付くまで、スミの方でおとなしく作業を観察することにしよう。

この台の真ん中に、ニチャッと塗りつけられている白いのが漆だそうです。「拭き漆」というのは、木地に漆を塗り重ねて独特の光沢を出す作業。塗っては乾燥させ、塗っては乾燥させを繰り返す、非常に手間のかかる工程なんだとか。

訓練生:「お待たせしましたー。一段落ついたので、インタビューをどうぞ」
あ、どうもすんません。というわけでインタビューさせていただくのは、写真左から、
1 那須 純平さん(宮崎県出身)
2 天野 拓さん(大阪府出身)
3 小川 真知さん(北海道出身)
4 中島 梓さん(高山市出身)
です。
ところで皆さん、漆塗ってましたけど、かぶれません?
那須さん:「昨日2人かぶれました。腕が赤くなって、かきむしってましたね」
気の毒。ちなみにあの「拭き漆」をやると、最終的に家具はどんな仕上がりになるんですか。

中島さん 「これ、卒業した先輩が実習で作った花台なんですけど、漆を塗ると独特の光沢が出るんです。透き通った漆なので、塗り重ねても木の地肌が見えることが特徴です」
きれいですね。ところでさっきから気になっているんですけど、実習場のあちこちに置いてある

この衝立とか、

カップボードとか、

テレビ台とか、これ皆さんが作ったわけじゃないですよね。
訓練生全員:「作りましたよ」
え?プロの作品にしか見えないんですけど・・・。売ってもらえるなら買いたいくらいの出来栄えだけど。
小川さん 「(笑)正確には私たちでなく、卒業生が作って置いていった作品です。毎年、私たち訓練生の作品を一般のお客さん向けに販売する即売会を実施しているので、その時、来ていただければ買えますよ」
たった1年で、こんなすごい作品を作れるようになるんですか。
天野さん 「全然すごくないです。プロの職人さんから見たら、全然ダメで」
そういうもんですか。職人の世界は厳しいですね。ところで皆さん、中島さん以外は全員、県外出身者ですよね。なんでまた、はるばる飛騨高山にやって来たんですか?

那須さん(宮崎出身)
「もともとモノづくりが好きで、ある有名な家具作家のホームページを見ていたら木工芸術スクールが紹介されていて、存在を知りました。ここは木工家具の一大産地なので、勉強するには、すごく恵まれた環境だと思って」
どんな家具を作りたいですか。
「単純だけど使いやすいデザインの椅子を作りたいです。普通に四角いだけのシンプルなやつとか」

ところで那須さん、南国の宮崎出身ってことは、飛騨の寒い冬はまだ未経験ですよね?
「はい。今から、地元の方にさんざん脅されています。ひどいときはハナ毛が凍るそうで。まあ、何事も経験ですから(笑)」
前向きですねー。でもスキー場が近かったり、いいこともたくさんあるので、そっちもぜひ堪能してください。
「ええ。でも、冬場は家具の卒業制作に向けて追い込みになるので、おそらく休日も学校にカン詰めだと思います」
これは失礼しました。職人の卵がスキーで腕を骨折したらシャレになりませんよね。シンプルな椅子、期待しています。
「がんばります」
じゃあ、次は大阪出身の天野さんにインタビューです。

天野さん(大阪出身)
「もともとは東京の商社で働いていましたが、伝統的な家具を作る職人になりたくて、仕事を辞めて入校しました。妻が高山の出身ということもあって、学校を卒業したら、この町で家具作りの職に就きたいと思っています」
伝統的な職人というのは、例えば、飛騨の伝統工法と北欧デザインが融合した家具を作る職人ですか?
「そうではなく、飛騨の伝統工法をきっちり守った指物などを作りたいんです」
それは珍しいですね。若い方は特に「伝統とモダンデザインの融合」みたいなところを目指す人が多いと思うんですけど。

「伝統技法とデザインが融合した家具は、高山のメーカーさんで素晴らしいものをたくさん作っていらっしゃいます。だからこそ私は、飛騨の匠の伝統をそのまま受け継いだ家具職人になりたいんですよ」
・・・なんか、カッコええ。カッコよすぎてちょっとムカつくけど、二児の父親である育郎は、天野さんの作るタンスだったら、ぜひ娘に持たせて嫁がせたいと、そんなことを思いました。もちろん、値切りますけど。
では、はるばる北海道から津軽海峡を渡っていらした小川さん、よろしくお願いします。

小川さん(北海道出身)
「以前、自動車の内装品などをデザインする仕事をしていましたが、社内ではデザインとモノづくりが完全に分業化されていました。そのうち、自分でデザインしたものを、どうしても最後まで自分の手で作りたくなったんです」
自動車の内装品では、それは難しいですよね。
「はい。そこで木工家具なら、デザインからモノづくりまで全部自分でできると思って学校を探し、木工芸術スクールにたどり着きました」
ということは、将来は自分で家具の工房を開きたいんですか?
「矛盾するようですけど、じつは高山の木工家具メーカーに内定をいただいておりまして・・・(笑)」
おめでとうございます。全国から才能が集まって、高山の木工業界をどんどん盛り上げてくれると、うれしいです。
「才能だなんて。私はメーカーへ就職するので、一人でデザインから制作まで手がけることはできませんが、デザインとモノづくり両方の基礎を学んだ経験を生かして、家具づくりの工程全体を考えながら仕事ができたらいいなと思っています」
他の人にはない強みですね。両方学んだことで、何か気づくことってありますか?
「身近のなんでもないモノほど、実は考え抜いてデザインされていることに驚きました。使いやすいから普段は気づかないですけど」
なんでもないってことは使いやすいってことなんですね。家具メーカーでのご活躍を期待しています!
さあ、インタビューのトリは、今日のメンツの中で、(なぜか)唯一の地元出身者、中島さんです。

中島さん(高山市出身)
「うちの学校、全国から集まっているので、リアルにケンミンショー状態ですよ。もうカルチャーショックの連続で・・・。ええと、私はですね、家族でワイワイと賑やかに普段使いできる家具を作りたいんです。多少荒く使っても壊れないような。あと、お洒落なものを作りたい!」
お洒落?
「例えば、木と金属を組み合わせてデザインした小箱とか。小物に興味があるんです」
ああ、なんとなくイメージできます。アクセサリー入れとか。
「そうそう。飛騨高山は観光地なので、オリジナル雑貨などを観光客の方に販売している作家さんがたくさんいらっしゃいます。私も小物家具を作って売れたらなと思っています」
多少荒く使っても壊れない。でもお洒落。・・・あったら売れそうですね。僕、嫁さんにプレゼントするので、ぜひ商品化してください。
「あくまで理想なので・・・。まだまだ道は遠いですけど」
どうもありがとうございました。
・・・・以上、木工コースのエース4名にインタビューさせていただきました。

校長いわく、皆さんは、休日も高山市内の家具工房にアポをとって職人さんに話を聞きに行ったり、家具メーカーのショールームを見に行ったりと、積極的に勉強されているそうです。また、夏休み中も、ほぼ毎日学校に来て、自主的に腕を磨いていたそうです。
・・・・まぶしすぎる。すでに夢も希望も失った育郎には、訓練生たちの輝きがまぶしすぎるっ!
せめて育郎は、訓練生の皆さんのために、木工芸術スクールの予算編成作業をがんばることとします。実習で使う材木代と漆代を県の財政当局からぶんどってきます。
インタビューが長くなったので、今回はここでいったんシメることにします。 次は建築コースを紹介するので、そっちも見てください。
*木工芸術スクールに興味のある方は、下記のお問い合わせ先まで、お気軽にお問い合わせください。
(お問い合わせ先)
木工芸術スクール 〒506-0057 岐阜県高山市匠ヶ丘町1-123
TEL <0577>32-1143 FAX <0577>32-1929 e-mail c23206@pref.gifu.lg.jp
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