平成15年第1回定例岐阜県議会知事提案説明要旨
本日、平成15年第1回定例県議会が開催され、新年度予算をはじめとする各般のご審議をお願いするに当たり、県政運営に関する私の所信の一端を申し述べたいと思います。
私は平成元年の知事就任以来、県は国の下請け機関ではなく、県民の夢を実現するための下請け機関であるべきとの考えのもと、「気配りの県政」と「先取りの県政」を両輪に、「日本一住みよいふるさと岐阜県」づくりを目指して、県民総参加、県民本位の「夢おこし県政」を推進してまいりました。この間、バブル経済崩壊による厳しい経済状況が続き、苦しい財政環境の中ではありましたが、県政各般にわたる改革に努め、全国でもトップクラスの財政の健全性を維持しながら、県政の課題の一つ一つに誠心誠意取り組んでまいりました。
我が国は、明治以来、強力な中央集権システムのもと、護送船団方式により経済発展を遂げてまいりましたが、このような中央集権型のシステムも、今ではいたるところで機能不全に陥っています。また現在は、ともすれば競争原理を中心に「構造改革」が進められようとしていますが、こうした「構造改革」は弱い者の切り捨てに繋がります。時代は、いよいよ地方分権の時、自治体が護送船団から離れ、自主・自立・自給・自衛の精神で、それぞれの地域に自己責任を果たさなければならない時がまいりました。
私は、かねてより、政治は「弱者のためにある」と考え、主張してまいりました。経済システムは「市場の論理」、「競争の原理」を基軸とするのに対し、政治・行政のシステムは「公平の論理」、「配分の原理」を、そして社会システムは「共生の論理」、「協力の原理」を基軸としなければなりません。「政治・行政」は競争原理の世界ではなく、公平に社会資源を分配するという「配分の論理」が優先する分野だと考えております。私は、この、強いものから弱いものへの資源配分こそ、政治・行政の基本であるべきとの認識で、県政運営に取り組んでおります。
さて、少子化による人口減少と高齢化は確実に進行してまいります。一方、情報社会は「知恵社会」であり、その最大の社会資本は知恵を生み育てる「人」であり、「人」こそが社会資本、今後の社会発展の鍵となります。
こうした認識に基づき、平成15年度は、「モノ」から「ヒト」へと発想を転換し、「人間中心主義」を県政運営の基本とし、これまでの取り組みや改革の蓄積を活かしながら、本格的な21世紀型県政へのテイクオフ(離陸)の年にしてまいりたいと思います。
このためには、これからの社会を支え、活力の源となる人材の育成・確保や、より多くの人が地域づくりなどに主体的に取り組んでいただくための、ハード・ソフト両面にわたる環境整備が最も重要な課題となります。また、知恵により付加価値を付ける「知恵産業おこし」を進め、将来の活力の源を培い、発展させていくことも必要です。これらを21世紀型の「公共投資」と位置づけております。
15年度予算においては、限られた財源の中、将来への投資としての「人づくり」と、知恵を生み・知恵を活かすための「健康対策」を最重点とし、重要課題に先手を打って取り組むための重点戦略に果敢に取り組むことといたしました。
その重点戦略の大要につきまして、順をおってご説明申し上げます。
第一に、現在、そして将来の有為な人材を育成、確保していくための「人づくり」でありますが、「夢おこし教育21〜個性を伸ばし、未来に羽ばたけ〜」というスローガンの下、組織、体制も整えながら、強力に推進してまいります。
まず、未来勢力を育成する学校教育では、過去の延長でなく、将来、社会へ出る時点を想定しながら、「共生人」、「国際人」、「情報人」、「創造人」といった21世紀社会に求められる人材を養成するという、いわば「出口主義」に基づく取り組みを進めてまいります。このため、「岐阜県まるごと学園構想」の下、「だれもが英才だ教育」として、子供達が夢のたまごを持って、自分で育てるという「夢のたまごを持つ運動」を展開しながら、児童・生徒が早期に自らの適正・個性を判断し、「自己責任」で勉強していけるよう、環境整備に着手いたします。このほか、「教育は人なり」の考えに基づき、教師の資質向上に取り組む一方、「先生を大切にする運動」も展開し、さらに、開かれた学校づくり、特色ある学校づくりの取り組みにも着手いたします。
一方、現有勢力を対象とする成人教育については、「職業教育」と「ボランティア教育」の両面にわたり、「人材養成10万人計画」に取り組んでまいります。
職業教育については、各分野における技術等の研修を実施するほか、特に、時代の変化に対応しうる「情報力」、「創造力」を強化するカリキュラムを共通のものとして、重点的に実施してまいります。併せて、「国際たくみアカデミー」、「国際園芸アカデミー」などの人材養成機関の整備や、プロダクトデザインなど商品企画力の向上のための取り組みを進めてまいります。
また、自らの知識や経験を社会に役立てたい、新たな生きがいを見つけたいというような、定年退職者などの要望に応えるため、ボランティア教育やボランティア活動の需要と供給をマッチさせる仕組みづくりを行うとともに、「ボランティア活動県民一人一役運動」も推進してまいります。
第二に、「知恵」を生み、育てる「人」を活かすためには、何よりもその「人」が健康でなければなりません。このため、21世紀の健康・医療対策として、「元気で・長生き岐阜県づくり」をスローガンに、健康障害半減計画の推進に重点的に取り組むとともに、このための組織・体制も充実します。健康障害半減の目標を立て、県民の皆様の自主的な活動を期待しながら、「早期発見・早期治療」、自然治癒力の強化を中心とする「予防」を柱に、食生活をはじめとする生活習慣の改善運動など、各般にわたる取り組みを進めてまいります。併せて、健康障害半減計画推進のための拠点として、「南飛騨国際健康保養地」の整備を推進いたします。
さらに、知恵社会において「人」が安心して暮らせるよう、福祉対策をはじめ、交通弱者対策、条件不利地域への支援などを「弱者対策」として位置づけ、重点的に取り組んでまいります。「ふるさと福祉村」構想については、21世紀型のコミュニティづくりを行うという観点から、「福祉コミュニティ21プロジェクト」として、福祉・健康・医療を核としたネットワークづくりを進めるとともに、重症心身障害者や難病患者への支援の充実、高齢者ケア付き住宅など福祉基盤の整備を進めてまいります。
このほか、知恵社会における「人」を守る観点から、「環境対策」、「治安対策」、あるいは「防災対策」にも重点的に取り組んでまいります。
さらに、将来の県経済を支える「知恵産業」については、「知恵を生む」、「知恵で創る」、「知恵で売る」を基本に、知恵産業を担う「人づくり」はもとより、健康産業、福祉産業、環境産業、交流産業、教育産業、文化産業、ハイテク産業を新七大成長産業ととらえ、知恵で付加価値をつける取り組みを促進してまいります。
一方、最近の経済情勢を見ますと、2月の月例経済報告では、1月に続き、「景気は、引き続き一部に持ち直しの動きが見られるものの、このところ弱含んでいる」との基調判断が示され、一向に改善の兆しが見えない状況が続いております。また、県内景気につきましても、雇用情勢は依然厳しいものがあり、企業倒産を見ても、昨年1年間の件数が過去最悪となり、今年1月も引き続き過去十年間で最多となるなど、先行きへの深刻感が一層増してきております。県民生活の安全と安心を確保し、不安を払拭するため、緊急の対策として雇用確保のための施策も急ぎます。
このため、「人づくり」や「知恵産業おこし」はもとより、即効的な効果を持つ交流産業の振興、「アウトソーシング」の徹底、失業者を出さないための「中小企業金融対策」の拡充のほか、公共事業についても、臨時・雇用対策特別枠を確保するなど、きめ細かく対応してまいります。
そして、これからの時代は「自己責任」があらゆる分野で求められる時代です。行政においても、国を頼ることなく、地域の「自主・自立・自給・自衛」体制を確立していく必要があります。また、地域住民にとっても、自らの「決定と責任」が求められる「市民政治」の時代となります。1985年に制定されたヨーロッパ地方自治憲章で「補完及び近接の原理」が謳われているように、地域のことは地域で考え、実行できるよう、住民になるべく近いところに権限と財源を移していくことが時代の流れであります。このため、国に対して強く地方分権を求めていくことはもとより、我々地方自治体自らが、単独航海方式で、地域の自立に向け努力する一方で、県民の皆様にも、自らの生活を守るための役割を担っていただかなくてはなりません。
地域の自立に向けては、食料・水・エネルギーなどの自給に向けた取り組みはもとより、地域の産業は地域で守る観点から、「地産地消運動」を推進するなど、幅広い施策を進めてまいります。
また、「市民政治」を実現していくために、県民の皆様と目的、情報を共有し、行動を共有していく各種の取り組みを進めます。崩壊しつつある「コミュニティ」を再建する取り組みのほか、引き続き、「5つの改革」すなわち「自立と連携」の「行政改革」、「創造と挑戦」の「経済改革」、「個性と責任」の「教育改革」、「安全と連帯」の「社会改革」、「心と健康」の「生活改革」を県民の皆様とともに進めてまいります。特に、こうした取り組みの一環として、「温故知新」運動、「健康障害半減」運動、「もったいない」運動、「夢のたまごを持つ」運動、「ボランティア活動県民一人一役」運動などを県民運動として進め、県民の皆様自身の手により「日本一住みよいふるさと岐阜県」を実現していただきたいと考えております。
以上が、平成15年度における重点戦略の大要ですが、県政全般にわたって横割り・複合的に体系化を図りながら、全力を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、議員各位をはじめ県民の皆様の温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、今議会に提出した案件について、ご説明申し上げます。今議会に提出した議案は、
| 予算関係 | 14 | 件 |
| 条例関係 | 29 | 件 |
| その他の案件 | 16 | 件 |
| 合 計 | 59 | 件 |
であります。
(予算編成方針)
最初に平成15年度予算についてご説明申し上げます。
国の予算は、活力ある経済社会の実現に向け、将来の発展につながる「新重点四分野」に予算の重点配分を行うとの方針に立って編成され、一般歳出は対前年度比0.1パーセントの増となっております。一方、地方財政計画においては、税収入の大幅な減少や公債費の増加等により、過去最大規模の財源不足が見込まれる中で、徹底した歳出の見直しと重点的配分、地方単独事業の削減等により財源不足額の圧縮を図った結果、計画規模は1.5パーセント減と、2年連続の減少となっております。
このような動向に加え本県でも、回復の兆しの見えない景気の更なる悪化による県税収入の大幅な落ち込みなどにより、極めて厳しい財源環境の中での予算編成となりました。このため、前年度に引き続き3年先を見越した予算フレームを作成し、中期的な財政の健全性に十分留意した上で、「入るを計りて出ずるを制す」という原点に立ち、まず歳入を固め、それをもとに厳しく経費を切りつめた予算フレームを作り、その上で、「量」から「質」への転換を図り、国から自立し発展していくための「自立発展型」予算として編成を行ったところであります。
まず、歳入予算では、県税については7.6パーセント、地方交付税については6.3パーセントとそれぞれ減額が見込まれる中、県債についても将来の公債費負担増に配慮しながら、元利償還金に交付税措置のある有利な県債を最大限活用することを基本として、極力発行を抑制いたしました。この結果、予算に占める県債の依存率は、15.8パーセントとなるものの、地方交付税の一部に替えて発行する臨時財政対策債、いわゆる赤字地方債を除くと9.5パーセントと、ほぼ14年度当初予算並みの水準に抑制したところであります。
また、県民の皆様にご協力を賜りました「ぎふ県民債」については、引き続き教育関連施設を中心に範囲を拡大し、県民の皆様から協力を仰ぐこととし、15年度は圏域別の募集などきめ細かな募集方法や利率などの償還条件についても検討を進め、同時に県の財務内容を分かりやすく説明する「IR活動」にも積極的に取り組んでまいります。
基金については、将来に備えてルール分を除き原則取り崩しを行わず、財源対策として実質取崩し可能な約120億円を温存するなどにより、堅実性、計画性のある財政運営を念頭に置きながら、所要の財源を確保したところであります。
また、歳出予算においては、限られた財源を効果的・効率的に配分し、県政の重要課題に対応していくため、要求段階からの経常的経費の思い切った削減や、物品・サービスの調達方式の工夫、さらにプロジェクト事業の見直しなどにより予算額の縮減に努め、従前にも増してメリハリを効かせた「重点増減方式」を徹底することにより、最重点戦略である「教育改革」などに重点をおいた予算配分に努めたところであります。
このような方針に基づき編成した平成15年度の予算規模は、
| 一般会計 | 820,230 | 百万円 |
| 特別会計 | 114,320 | 百万円 |
| 合 計 | 934,550 | 百万円 |
となり、一般会計予算は、前年度当初予算に比べ、1.7パーセントの減、2年連続の減少となっております。
(主要な施策)
それでは、施策の大要につきまして、順を追ってご説明申し上げます。
第一に「安心して暮らせる岐阜県づくり」のための施策であります。
(1)生涯を通じた健康づくり
まず、「ヒト」の原点である「健康」対策として、「元気で・長生き岐阜県づくり」をスローガンに、壮年期の三大生活習慣病「がん」・「脳卒中」・「心疾患」による死亡者数を5年間で半減させることを目標とする「健康障害半減計画」を推進するため、『早期発見・早期治療』、『予防』を柱として、県民の皆様、病院、市町村とともに県民総ぐるみで取り組んでまいりたいと考えております。
『早期発見』としましては、健康診断を励行する「県民皆診運動」を展開しながら、性別・年代別の標準的な検査項目を岐阜モデルとして設定し、市町村、病院、学校等でこれを自主的に導入されるよう、普及・啓発に努めてまいります。
また、先端的医療技術の導入や総合的な治療法の活用として、補完・代替医療も含めた先駆的医療技術の調査・研究・実践を行う「(仮称)健康医療フロンティアセンター」を下呂温泉病院に設置いたします。
次に、自然治癒力の強化を図る『予防』対策としては、女性を対象にした「岐阜メソッド健康五法」実践セミナーを開催するほか、生活習慣を反映する指標として血液流動性や活性酸素などの測定システムを構築し、また、県民の皆様が保健所など身近な施設に設置する簡易な診断機器により、生活習慣の改善効果が測定できる自己診断体制の確立を進めてまいります。
このほか、「健康法実践リーダー」の拡充、モデル市町村に対する重点的支援、保健所の機能強化など県独自の取り組みを推進してまいります。
これらの取り組みの中核拠点となる「南飛騨国際健康保養地」につきましては、引き続き、県民の「健康道場」として「(仮称)南飛騨総合健康増進センター」の整備を進めるとともに、健康・医療の拠点となる「(仮称)南飛騨総合健康医療センター」の第1期分として、「(仮称)ウェルネスプラザ湯ヶ峰」の基本設計に着手いたします。
また、医療対策としては、現在の県立岐阜病院を、高度救命救急センター、心臓血管センター、がん治療センター、こどもホスピタルなどを備える最高レベルの医療サービスを提供する「(仮称)岐阜県総合医療センター」として再整備するための本体工事に着手し、併せて、県立多治見病院の病棟を二十一世紀型に改築するための基本計画に着手するほか、県立病院の改革を進め、患者中心の医療体制の整備を進めてまいります。
さらに、「食」の安全・安心の確保は健康に不可欠なものであり、農業も健康産業との考えのもと、無登録農薬撲滅作戦の展開をはじめ残留農薬問題に厳しく対応していくとともに、新たに遺伝子組み替え食品や健康食品の検査を実施するほか、「ぎふクリーン農業」の取り組みを重点的に支援いたします。
また、十五年度から死亡牛全頭BSE検査が義務づけられることによる検査体制の一層の強化や廃用牛の流通促進など、BSE対策にも引き続き万全を期す一方、全国和牛能力共進会において名実ともに日本一となった「飛騨牛」の全国キャンペーンを展開してまいります。
(2)生きがい福祉の推進
次に、高齢者や障害者の方々が、住み慣れた地域で生涯安心して豊かに暮らすことができる社会「ふるさと福祉村」の実現に向け、福祉・健康・医療を核とした21世紀型のコミュニティづくりプロジェクトとして、地域の特性を活かした複合的な生活支援サービスを提供するネットワークづくりを支援してまいります。
また、特別養護老人ホームなどの老人福祉施設について、16年度までに待機者の解消を図るべく、全国最高水準の県単独助成制度により民間事業者の介護基盤整備を促進し、併せて、高齢者向け「ケア付き住宅」の建設に対する助成制度や、バリアフリー住宅認定制度の創設など、高齢者や障害者などの視点に立った福祉のまちづくりを総合的に推進します。さらに、NPO法人やボランティア団体など地域住民の運営による宅老・託児機能を備えた「街かどふれあいプラザ」の整備を支援いたします。
次に、障害者福祉につきましては、措置制度から支援費制度への移行により、重度心身障害者等の処遇水準が低下することのないよう、県単独の加算制度を創設いたします。
また、重症心身障害者の地域生活を総合的に支援するケアコーディネーターの充実を図るほか、重症難病患者の方々に対しても「応援員」を派遣し、日常的なふれあいを通じて生活上の悩みや不安の相談に応じるなど、安心して療養生活を送ることができるよう支援してまいります。
さらに、一般企業への就労が困難な知的障害者を雇用し、社会的自立を促進する「知的障害者福祉工場」の運営費に対する助成制度の創設をはじめ、一人では外出が困難な盲ろう者の方々をサポートする通訳・介助者の派遣など、障害者の社会参加に向けた施策を充実してまいります。
このほか、保育所、幼稚園の余裕教室などを活用した子育て拠点「コミママプラザ」の設置に対する支援や、母子家庭の母親を対象として自立に向けた身近な相談体制を充実する一方、急増する児童や女性への虐待などの家庭内暴力につきましても、その保護体制の充実を図ってまいります。
(3)安全なくらしの確保
広大な県土に急峻な山地、大小多数の河川を擁する本県にとって、治山・治水対策は県政の根幹に関わる課題であり、流木災害監視地域での計画的な間伐等を推進する森林整備について、特別枠として所要額を確保するほか、昨年大変な浸水被害をもたらした大谷川・相川等の堤防補強工事と洗堰の嵩上げ工事に着手し、19年度の完成を目指して、大垣市荒崎地区の浸水被害軽減対策を講じてまいります。
また、東海・東南海地震をはじめとした大規模災害の発生に備え、迅速な対策を時系列に整理した被害対応シナリオを作成するほか、防災ヘリコプター「若鮎U号」にヘリテレ装置を装備するとともに、総合防災情報システムを構築することにより、被災状況を迅速かつ的確に把握し、県民にわかりやすく提供できる体制を早急に整備いたします。
さらに、災害発生時における被災者救出や緊急輸送路の確保など、人命救助を最優先にした体制の充実を図るため、地域の建設業協会との連携を強化するほか、自主防災組織リーダーやコミュニティ女性防災リーダーの育成を図り、地域主体の防災体制の強化に努めてまいります。
治安対策については、検挙は最強の防犯対策との観点から、多発する凶悪犯罪等の検挙率の向上を図るため、今年度も警察官を60人増員し、3年連続で合わせて265人の増員を確保するほか、17年度の供用開始に向けた警察本部庁舎の建設や交番・駐在所の改築など、治安拠点施設の整備を推進してまいります。
また、警察官OBを活用した交番相談員を増員し、身近な相談窓口を拡充する一方、「お巡りさん」や「消防士さん」、「水防さん」と連携し、『安全』を核にした住民主体のコミュニティづくりを進めてまいります。
第二に、「便利に活動できる岐阜県づくり」についてであります。
(1)総合交通体系の整備
交通網の整備は県土活性化の基盤として極めて重要であり、県内を網の目状に繋ぐ九つの交通軸により、農道、林道を含めた総合的な道路整備を継続して推進します。特に、基幹となる新高速三道につきましては、2005年までに東海環状自動車道東回りルートの開通を目指し、濃飛横断自動車道、岐阜南部横断ハイウェイ等の地域高規格道路とも合わせ、引き続き整備を促進してまいります。
バス路線対策につきましては、街で地域住民の足を確保するバス事業を「輸送事業」から「公共事業」として明確に位置づけを変更し、財源として道路特定財源を活用する全国初の取り組みとして、ワンコイン方式のコミュニティ・バス、いわゆる「コミバス作戦」を展開し、交通弱者の「足」の確保とともに市街地の再活性化に繋げてまいります。
(2)情報化対策の推進
情報化施策につきましては、「岐阜県IT戦略」の着実な推進を通じて、「すべての県民がITにより豊かな生活を実感できる社会」の実現を目指し、県民情報力の強化、専門的な人材の養成による情報社会の「知恵を生む人づくり」に重点的に取り組み、本年4月に本格運用を開始する「岐阜情報スーパーハイウェイ」を活用しながら、県民生活や産業・経済活動に、安全・安心・便利・快適・活力をもたらす五つのネットづくりを引き続き積極的に展開してまいります。
まず、情報社会のインフラ整備では、全ての小中学校や消防機関などが「岐阜情報スーパーハイウェイ」と接続できるようネットワークの拡大整備を進めてまいります。
また、「行政の生産性」日本一を目指して、県民本位の電子自治体である「デジタルガバメント」の実現に向け、電子申請システムや建設CALS/ECなどの整備に併せ、県民サービスの総合窓口となるポータルサイトの構築を進めてまいります。
「GIS」や「ITS」につきましても、岐阜県独自の取り組みとして、県民ニーズに対応した静態情報や動態情報を収集し提供するシステムとして構築するほか、次世代携帯電話の学校教育への活用方策を研究するなど、県民生活に関わりの深い分野を最優先して取り組んでまいります。
第三に、「快適な生活を楽しめる岐阜県づくり」についてであります。
(1)美しい環境づくり
環境対策につきましては、「空気・水・土を守る」ことから出発し、道徳心に訴えるだけでなく、「信賞必罰」を徹底的に進め、「自己完結の循環社会づくり」と「生態系を守る」を柱に取り組んでまいりたいと考えております。
まず、「自己完結の循環社会づくり」については、生ゴミや農業集落排水施設で発生する汚泥等のバイオマスを農業に有効活用する、地域完結型のリサイクルシステムの実用化に向けた取り組みを支援してまいります。
併せて、レストラン等で食べ残しが出ない運動など生ゴミの三R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進する「もったいない県民運動」を県民総ぐるみで取り組んでまいります。
廃棄物対策につきましては、廃棄物対策五原則(安全第一、公共関与、リサイクルの徹底、複合行政、自己完結)を基本に据え、廃棄物処理施設の近隣住民の皆様で組織する「地域環境保全委員会」を新たに設置し、地域住民と連携し、不適正処理の監視予防対策を強化するなど、総合的な取り組みを進めてまいります。
次に、「生態系を守る」につきましては、今回提案をいたしております「岐阜県希少野生生物保護条例」に県民の責務や違反者への罰則等を規定し、絶滅のおそれのある野生生物の保護に万全を期すほか、移入種や外来種対策、入山規制等についても条例化の検討を進めてまいります。
また、川島町の「河川環境楽園」内には、希少水生生物の保全研究等を行う全国初の「(仮称)河川環境研究所」の建設に着手します。
さらに、乗鞍地域の貴重な自然環境を保全するため、乗鞍環境保全税を創設し、総合的な環境保全施策を実施するほか、乗鞍スカイラインで運行する低公害シャトルバスの導入を支援してまいります。
(2)文化、スポーツの振興
次に、文化の振興では、戦後の日本がもっぱら利便性を追求する中で、失われがちな古き良き伝統・文化・資源を再認識・再発見し、行政・経済・教育・社会・生活の「五つの改革」に活かしていくため、県民との協働による「温故知新」県民運動を展開してまいります。
また、岐阜県美術館が所蔵する優れた美術品を、広く県民の皆様に観賞していただくため、飛騨センターで常設展示を始めるほか、移動美術館として、県内各地で所蔵品展を開催いたします。
スポーツの振興につきましては、引き続き「スポーツ王国・ぎふ」づくりを強力に推進し、平成24年の国民体育大会の本県開催に向けた準備や選手強化に努めるほか、全国的な活躍が期待される高校野球、サッカー、駅伝を重点的に強化するため、イベント・スポーツ振興事業団と連携し、対策を進めてまいります。
また、2005年に海津町で開催されるアジアでは初めての開催となるFISA世界ボート選手権の成功に向け、準備支援体制に万全を期し、さらに、平成16年12月のオープンに向け、国際規格のリンクを備えた県立スケート場の整備を進めてまいります。
第四に「活力があふれる岐阜県づくり」のための施策であります。
(1)活力ある地域づくり
まず、地域住民や市町村が自主的・主体的に取り組んでいる市町村合併につきましては、合併後の市町村のまちづくりを支援するため、新市と連携した「まちづくり協議会」を設置するほか、市町村建設計画に定められた事業に対する助成制度を創設します。
次に、即効的な景気対策となるイベントの関係では、「花の都ぎふ」運動のこれまでの成果を活かし、「花」をテーマとしたイベント「花の都ぎふ祭り〜ひだ・みの花紀行〜」を県下全域で展開してまいります。
また、2005年に開催される「日本国際博覧会」に向けて、「美濃ミュージアム街道」の中核拠点である花フェスタ記念公園や平成記念公園などの整備を進め、美濃地域の観光振興を促進する一方、飛騨センターの専用駐車場を確保するなど、全国規模・世界規模のイベントコンベンションの誘致を戦略的に進めてまいります。
(2)産業の振興
次に、工業・商業・中小企業につきましては、長引く経済不況や「産業の空洞化」が進展する中、県内情勢も依然として厳しい状況が続いており、特に中国製品等の輸出攻勢は県内地場産業にも大きな影響を与えています。このため「売れるものづくり」を目指し、グローバルな競争の中で県内産業の高付加価値化、生産性向上や新産業の育成など産業構造改革を積極的に進めていくことが重要であり、これを担う人材の育成が急務であると考えております。
このため、人づくりとして社会人教育に主眼をおき、総額10億円の「人材養成十万人計画」を掲げ、これからの成長が見込まれる「新七大成長産業」として、健康、福祉、環境、交流、教育、文化、ハイテクの産業分野を重点に、時代の変遷や企業ニーズに合わせた研修を知恵産業おこしの観点で再構築し、厳しい時代に生き残れる国際標準の人材づくりを推進してまいります。
特に、15年度を「文化産業おこし元年」と位置づけ、「デザインセンター」「デザインアカデミー」「TAKUMI工房」を拠点に、県内中小企業者の新商品開発や販路開拓を支援するなど、「ワールド・デザイン・ORIBE構想」を強力に推進してまいります。
株式会社ホリプロと共同で設置した「ORIBEコンソーシアム」については、スタイリストやモデルなどファッション産業の人材養成を目指し、「ORIBEファッションアカデミー」を開設いたします。
また、今年は「文化産業おこし元年」とし、そのシンボルイベントとして、10月にニューヨークのメトロポリタン美術館を中心に「織部・アメリカ展」や「クラフト・観光展」などを開催いたします。これは、本県が誇るオリベイズムを、世界の情報発信の中心地であるニューヨークで紹介することにより、オリベの精神・文化、県内地場産業、観光等の魅力を世界に向けてアピールし、本県経済の活性化に繋げようとするものであります。
次に、ハイテク産業の育成では、「スイートバレー構想」の中核拠点であるソフトピアジャパンの研究成果等を活用して製品化・商品化に取り組む企業を支援するなど総合的に施策を展開するとともに、情報化推進に意欲的な地域にソフトピアジャパンのブランチの設置を支援し、県内への情報産業の集積を図るための施策を強化します。
このほか、ものづくりを中心に現場のリーダー養成を目的とした「国際たくみアカデミー」を開校するほか、陶磁器産業を担う人材を養成するための「(仮称)陶芸アカデミー」の開設に向けた準備に着手します。
また、花と緑の産業を支える「高度な知識、技術を有する人材」を育成する「国際園芸アカデミー」についても、平成16年4月の開校に向け整備を進めてまいります。
さらに、中小企業金融対策としては、厳しい経済、雇用状況下におけるセーフティーネットとして、「経済変動緊急対策特別融資資金」を1年延長し、本年度と同額の450億円の新規融資枠を確保する一方、政策誘導型資金も同額を確保し、意欲ある中小企業者を重点的に支援してまいります。
雇用対策では、引き続き緊急雇用創出特別対策基金をできる限り前倒しで活用し、雇用・就業機会の創出と研修事業に取り組みます。
(3)研究開発の推進
次に、研究開発の推進につきましては、スーパーカミオカンデなど県内研究機関の外国人研究者によるフォーラムの開催を通じて外部人材の積極的活用を図りながら、ソフトピアジャパンやテクノプラザなどを拠点に産学官の連携を積極的に推進し、産業界等のニーズに基づく実用化研究に引き続き重点的に取り組みます。また、ITを始めバイオ・ナノテクやロボットなどの成長分野への取り組みを強化し、「知恵産業おこし」としてハイテク産業の育成・振興と県内地場産業の競争力の回復を目指してまいります。
また、科学技術振興センターの「ギフ・ロボット・センター推進室」を強化し「ギフ・ロボット・プロジェクト21」として、知的クラスター創成事業、早稲田大学との連携による最先端のロボット技術開発等を進めてまいります。
(4)人づくりの推進
次に、人づくりの推進につきましては、国家教育から自治体教育への移行、岐阜県独自の教育方針を目指して、地域の歴史、伝統、文化を尊重し、国際標準の人づくりを目指した「岐阜県教育憲章」の制定と、21世紀に求められる人材を育成するため、「個性と責任」をキーワードに真に児童生徒の幸せを願い、学校、家庭、地域社会などの連携により「夢おこし教育21」を推進してまいります。
このため、学校教育の改革を進め、自然・社会との「共生人」や、世界で通用する「国際人」、情報社会を生き抜く「情報人」、多様性社会に対応できる「創造人」の育成に取り組むほか、児童生徒の一人ひとりが持っている優れた個性と能力を早期発見し、早期指導を行う「だれもが英才だ教育」を、ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊先生にもお力添えをいただきながら「夢のたまごを持つ運動」とともに進めてまいります。
まず、学校教育につきましては、16年度までに全ての小中学校において少人数指導を完全実施するため、引き続き県単独で教員の増員配置を進めるほか、いつでも自由にパソコンを利用した学習が可能となるよう、生徒3人に1台となるパソコンを配備し、世界トップレベルの情報教育環境の整備に取り組んでまいります。
また、児童生徒が将来自分が何に向いているのかを考え、その個性を伸ばすことを支援する「適性自己診断システム」を導入し、子どもに「選択と責任」の姿勢を植え付ける取り組みを推進します。併せて、民間企業、大学等と連携し、身近なところで優れた方々により指導が受けられるよう教育環境を整備するほか、「先人顕彰・子ども先人賞」を創設し、子どもの個性あふれる活動を顕彰いたします。
次に、「教育は人なり」、先生次第です。指導力不足など資質の向上を必要とする教員に対して、民間企業での社会体験研修等を実施する一方、「地域教育賞」を創設するなど「先生を大切にする運動」も併せて展開してまいります。
また、学校の授業風景等をインターネットで配信する「電子授業参観事業」に取り組み、学校の公開を進めてまいりたいと考えております。
学校施設の整備では、児童生徒の生命を守るという観点から、集中的に校舎等の耐震補強工事を行うため、特別枠を設け予算を増額いたしました。また、特色ある学校づくりとして「一校一寮」を進めることとし、生徒のニーズに適応した新しいタイプの「生徒寮」を、公設民営方式でモデル事業として着手いたします。
さらに、公益信託ぎふNPO基金への追加出資をはじめ、NPOの安定性、継続性の向上を図るため、コミュニティ・ビジネス起業講座の開催など、NPO法人の活動を支援いたします。
以上が、主要施策を中心とする新年度予算の大要でありますが、次に行財政改革への取り組みについて申し上げます。
本県では、昭和58年度から平成2年度まで、及び12年度から16年度までにかけて、「少数精鋭」の方針のもと、知事部局の一般職員定数を513人(約1割)を削減するなど、他県に先駆けて行財政改革に積極的に取り組んでまいりました。さらに、6年度から7年度にかけて実施した、すべての事務事業をゼロベースから見直す「事務事業の総点検」などにより、14年度までに2,316人分以上、職員定数の約半数に相当する事務量を削減し、これにより捻出したマンパワーを新規重点分野に再配置してきております。また、このほか県民本位の県政を一層推進するため、本庁・現地機関の組織を再編成するといった取り組みを積み重ねてきており、本県は「平成改革の元祖」として着実に実績をあげております。
さらに、情報化・国際化・少子高齢化といったメガトレンドに対応しながら、「最小の県民負担で最大の県民福祉」を提供するため、現在、第四次行財政改革に取り組んでいるところであります。このうち、施策評価と連動した事務事業の見直しでは、12年度から14年度までに、約318億円の経費を削減いたしました。建設事業のコスト縮減につきましても、13年度までに目標としていた20パーセントを達成し、金額にして約1,097億円の縮減を図ったところであり、現在は目標を35パーセントとした更なる縮減に取り組んでいるところであります。
このような他県に先駆けた不断の取り組みの結果、本県財政は全国トップクラスの健全性を堅持しているところでありますが、景気低迷の長期化により全国の自治体財政は未曾有の困難に直面しており、本県も例外ではありません。
15年度におきましても、県民ニーズに素早く対応する「早い県政」、県民の負担を少しでも軽くする「安い県政」、県民と情報を共有する「ガラス張りの県政」、県民と協働する「納得の県政」の四つのスローガンのもと、定数削減計画の着実な実施、建設事業コストの更なる縮減のほか、事業経営局の廃止など組織の簡素・合理化、デジタルガバメント構築に向けた取り組みなど、行財政改革に積極的に取り組み、官僚政治から市民政治への移行に向けて「小さな県庁、大きな県政」を実現してまいります。
(歳入その他)
次に、歳入の主な事項についてご説明します。
まず、県税につきましては、今後も景気の悪化が懸念されるところではありますが、県内の主要法人に対する聞き取り調査などをもとに1,937億円を計上いたします。また、地方交付税につきましては、地方財政計画等を勘案して2,014億円を計上し、県債につきましては、償還に財源措置のある有利なものを中心に1,297億2,600万円を計上いたします。さらに、基金につきましては、予め取崩しを予定していたもの、ルール化されているものを中心に160億5,000万円の繰入れを行います。
次に、議第15号から議第43号までは条例の制定又は改廃に関するものであり、手数料徴収条例や都市公園条例などの一部改正を行い、また山県市、瑞穂市の設置に伴う関係条例を整理し、社会福祉施設利用料金条例をはじめ、絶滅のおそれがある野生生物を保護するため希少野生生物保護条例などを制定するものであります。
また、議第44号から議第57号まではその他の案件でありまして、工事の請負契約の締結、包括外部監査契約の締結等について、それぞれ議決を求めるものであります。
さらに、議第58号は、教育委員会委員 山本善一郎君の任期満了に伴い、引き続き同君を任命するため、同意を求めるものであります。また、議第59号は、専決処分の承認を求める案件でありまして、総務省が行う、地方公共団体による公的個人認証サービスの全国実用試験に関する調査研究を受託することに伴う一般会計補正予算について、地方自治法第179条の規定により専決処分したものであります。
以上をもちまして、提出案件の説明を終わりますが、よろしくご審議のうえ、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。