ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

タマシギ

タマシギ Rostratulabenghalensisbenghalensis(Linnaeus) 準絶滅危惧
  チドリ目タマシギ科
選定理由 分布域の一部において生息条件が悪化しており、種の存続への圧迫が強まっていると判断される。 写真を拡大表示します
形態の特徴 全長約24cmのムクドリ位の大きさの丸みのあるシギである。体の背面は茶褐色で腹面及び目の周り、肩が白色である。雌は顔と喉、頸が濃い赤褐色で雄より派手である。
生息環境 丘陵帯の水田や水深の浅い池沼などに生息する。水田に囲まれた休耕田や湿地で繁殖することが多い。
生態 留鳥。繁殖期は4〜9月頃である。一妻多夫で雄が抱卵育雛を行う珍しい習性がある。この習性は日本産鳥類の中では南西諸島にいるミフウズラと本種だけである。巣は草株中の凹みなどに草を積んで皿形に作られる。昆虫、ミミズなどの小動物を捕る他、草の実なども食べる。
分布状況 主に本州中部以南、四国、九州、沖縄諸島に分布し、北方のものは冬季、暖地に移動する。国外では東南アジア、インドなどに分布する。県内では美濃地方の岐阜市、羽島市、本巣市、大垣市、御嵩町などで繁殖の記録がある。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 湿地や湿田の減少による。本種の生息する丘陵地は、人間の生産活動の活発な場所でもあり改変により生息環境が消失している。また、湿田は生産性を高めるため乾田化されたり、山間の湿田では長い間耕作が行われないまま放置されて乾燥した草地になるなどにより減少している。
保全対策 生息環境となる湿地の保全に配慮が望まれる。繁殖地で農作業をする場合は繁殖を阻害しないような協力を求めることも必要である。
特記事項 御嵩町指定希少野生生物。
参考文献
  • 「山渓ハンディ図鑑7日本の野鳥」(叶内拓哉・安部直哉・上田秀男、山と渓谷社、1998)
  • 「日本の野鳥590」(真木広造・大西敏一、平凡社、2000)
  • 「日本の鳥550山野の鳥・水辺の鳥」(山形則男・吉野俊幸、文一総合出版、2000)

文責:安藤辰夫・大塚之稔

<外部リンク>