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ネコギギ

ネコギギ Pseudobagrusichikawai(OkadaetKubota) 絶滅危惧I類
(環境省:絶滅危惧IB類) ナマズ目ギギ科
選定理由 既知のすべての生息地で生息条件が著しく悪化しており、個体数が危機的水準まで減少している。 写真を拡大表示します
形態の特徴 全長12cmで尾鰭後縁の切れ込みは深い。近縁種のギギと比較して、尾柄高が高く体長の9.0〜13.1%で、臀鰭の条数が少ない。雄が雌よりも大きい。
生息環境 清澄な河川の中流の緩流域、大岩・浮き石の下や、川岸の洞(うろ)など入り組んだ場所に潜む。
生態 産卵期は6月〜7月で産卵期に雄は縄張りを持ち、石の下などの巣穴に雌を呼び込み産卵する。夜行性で、ユスリカやカゲロウといった水生昆虫を食う。陸上に取り出すと、胸鰭の棘基部の骨をこすり合わせて音を出す。
分布状況 日本固有種。当県、三重県、愛知県の伊勢湾および三河湾に注ぐ河川の中流域のみに分布するが、各河川での生息場所の範囲は狭く分布は局所的である。県内では、揖斐川、長良川、木曽川に分布する。 分布情報図を拡大表示します
減少要因 河川の改修による、浮き石やヨシ場などの岸辺の入り組んだ場所の消失が、減少要因とされている。また、県内では、近縁種のギギの侵入が、ネコギギの生息を脅かしている可能性もある。2007年に、主要な生息域において、原因不明の個体数の激減が起きている。
保全対策 生息環境の保全が、極めて重要であり、ネコゴギのすみかとなる、大石や浮き石などが河川内に残される必要がある。ネコギギに配慮した河川改修の工法がとられた事例もあり、その効果について長期的な調査が必要である。
特記事項 国天然記念物。水産庁レッドデータブック絶滅危惧種。
参考文献
  • 細谷和海(2000)ギギ科.中坊徹次(編)、日本産魚類検索第2版、p.278:東海大学出版会.
  • 森誠一・名越誠(2002)ネコギギ.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編)、山渓カラー名鑑日本の淡水魚3版、pp.408-409:山と渓谷社.
  • 徳原哲也(2005)ネコギギ-東海の清流の生き証人-.片野修・森誠一(監修・編)、希少淡水魚の現在と未来-積極的保全のシナリオ-、pp.269-276:信山社.
  • 徳原哲也・原徹(2002)岐阜県における希少魚ネコギギの分布.魚類学雑誌、49:121-126.
  • Watanabe,K.2009.SuddencrashofalocalpopulationoftheendangeredbagridcatfishPseudobagrusichikawai.Ichthyol.Res.56:319-321.

文責:大原健一

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