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男女共同参画推進ロールモデル

本荘まちづくり協議会会長井上いほりさん(岐阜市在住)

 ピタッとはまれば、大きな力を発揮します。人は、ジクソーパズルの1ピース。周囲とつながり、支え合って、一緒に生きてゆきましょう。

 地域の中で主婦として生活しながら、日常の疑問や不便に真摯(しんし)に向き合って周囲の人々と一緒に解決や改善に努めてきた井上いほりさんは、いつしか地元、岐阜市本荘の中心的存在に。地域防災・減災の活動を進める『本荘まちづくり協議会』の結成に尽力し、会長を務めるほか、岐阜市50地域の自治会連合会では初の女性会長となり、自治会活動やまちづくり活動、高齢者や障害者への支援及び地域防災体制づくりに取り組んでいます。地域住民の見守りを重点課題とし、災害時の敏速な安否確認システムを構築するべく災害時要支援マップも作成。女性の視点や感性を生かした細かな取り組みが評価され、平成24年度には内閣府の『女性のチャレンジ賞特別部門賞(防災・復興)』を受賞しました。

 井上しほりさん

『女性のチャレンジ賞』を受賞された取り組みについて教えてください。

 受賞したときは、「え、私でいいの?」という感じでした。地域防災への取り組みを評価いただいたことは光栄ですが、自分としては女性を意識して活動したわけでも、特別な挑戦をしたわけでもなく、目の前の課題を何とかしようと取り組んできただけなんです。

 私が暮らす本荘地区は人口11,424人(平成26年9月1日現在)、高齢化率は27.98%(平成26年4月1日現在)。高齢者が多く、長良川も近いので、災害時に高齢者が取り残されることがないよう、地域の絆づくりが重要と考え、喫茶店を活用した「地域サロン」や高齢者の方に持ち歩いていただく「救急カード」の普及を図ってきました。そんな活動のなかで、高齢者分布が一目でわかる地図がほしいということになり、「どうしたら作れるだろうか」と方々に相談した結果、岐阜市の紹介で岐阜県の「県域統合型GIS(地理情報システム)」を活用できることに。そして地元小学校のパソコンを使わせていただき、県の指導を受けながら災害時要支援マップを作成、みんなで情報を共有できるようになったのです。

自治会組織の会長は男性が多い中、本荘自治会連合会、岐阜市自治会連合会で、女性初の会長を務められていますが、その経緯は?

 自分で手を上げたわけじゃないんですが、気付いたらそうなっていました。私は何でも拾ってしまうタイプなんです(笑)。40年ほど前に嫁いで来たときは新参者で、今のような姿は想像もしませんでしたが、それから「子ども育成連合会」「民生児童委員」「女性防火クラブ」「婦人会」など、地域の中でいろいろやってきた経験が現在につながっているのだと思います。結婚して間もなく同居していた義父母の介護に追われるようになり、辛い時代をご近所の方々に支えていただいたので、地域の皆様に恩返しをしたいという思いがありましたし、疑問や課題をそのままにしておけない性分なので、会合などで、よく質問や発言をしていました。そんなことから、「じゃあ、自分でやってみろ」という感じで、いつのまにか真ん中に立たせていただくことになったのです。

男女共同参画社会について、どのようにお考えですか?

男だから、女だからということは、とりたてて意識していません。大事なことは性別ではなく、「人としてどうか」に尽きると思います。女性で初めて会長になったからといって特に気負いはなく、私は今も「普通のおばちゃん」です(笑)。ただ一つ心がけているのは、自分がわからないことを、そのまま組織に下ろすことはしないということ。それは、皆様に支えていただく立場の人間として当たり前のことだと思います。今、会長を務めさせていただいているのは、地域の方が私を理解し支えてくださることと、これまで積み重ねることが出来た人との関係があってのことです。私は地域の一員としてつながりを大切にしながら、身の回りの疑問や課題を周りの方々と一緒に考え、ささやかな改善をしてきたに過ぎません。これからも人として普通に生き、人と人との関わりを大事にして地域を未来につないでいきたい、ただそれだけです。

社会へのメッセージや、今後の抱負をお願いします。

 災害時要支援マップを作成する際、地域でパソコン倶楽部を立ち上げ、県の指導を受けながら作成を行ったのですが、担当メンバーには、パソコンができる若い人を抜擢しました。彼らはめきめき成長し、今ではシステム管理の要です。人って、ピタッとはまる場所を得ると、みんな輝くんです。社会には性別も年代も異なるいろんな人がいて、まるでパズルのよう。一人ひとりが周囲とつながり、自分ならではの良さを生かせるような関係ができれば、人が変わり、地域が変わり良くなるのではないでしょうか。時は確実に流れ、地域社会も次の世代へ受け継いでいかないといけないので、若い方々を巻き込んで、その成長を支えていかなければならないと思っています。

 

アース・クリエイト有限会社営業本部長岩田良さん(岐阜市在住)

 子育てからの学びは、仕事にも、きっと生きてきます。男性が育児休暇を取るようになって、会社にはプラスの連鎖が生まれました。

 厚生労働省主催の『イクメン企業アワード2014』でグランプリに輝いた岐阜市の企業、アース・クリエイト有限会社で営業本部長を務める岩田良さんは、3人の子どものパパ。長女誕生の際に初めて育児休暇を取得し、以来、男性社員の育児休暇を取得が当たり前に。当初、社内は超多忙で、男性社員には家庭を顧みる余裕もなく、士気が停滞して退職者も続発しましたが、育児休暇取得をきっかけにムードが一転、離職率も0に。今では家族を職場に招く「子ども参観日」などのイベントも恒例となり、社員たちは家庭を大事にしながら元気に働いています。社内改革を牽引してきた立場の岩田さんは、変化に手応えを感じつつ、さらなる改革に意欲的。子育てにも励みながら、充実した日々を過ごしています。

社内で最初に育児休暇を取得されたときのことを教えてください。

 平成19年、妻は実家の福井で長女を出産。そのとき社長が「行ってこい」と背中を押してくれたんです。当時、私は立ち上がったばかりの営業部で改革に取り組み始めたばかり。仕事が大変で休む気はなかったのですが、ちょうど企業の子育て支援が注目され始めた頃で、調べたら育児休暇で助成金をもらえることがわかり、「これも改革の一つになる」と子育て支援企業認定を受け、自ら第一号になりました。妻も喜んでくれて、ゆっくりと家族の時間を持つことができ、良かったです。それまでは仕事ばかりで家にも帰れないような生活でしたので、「本当にいいの?」と驚かれましたけどね(笑)。仕事は何かあれば携帯電話で連絡がつくわけで、やってみたら休めたんです。職場に戻った時には、心身ともリフレッシュし、周りに対しても「休みの間ありがとう」っていう感謝の気持ちでいっぱい。それからは、みんな必ず育児休暇を取るようにしました。私も3回取りましたよ。

岩田良さん

多忙な職場で、みんなが休暇を取れるようにするために、どんな努力をされましたか?

 改革の一環として、かねてから5人でやっていた仕事を4人でできる仕組み作りを進めていました。育児休暇をちゃんと取るということで、その仕組みづくりに弾みがつき、みんなの意欲も高まったんです。また、休む人の仕事を代行することは、新たな仕事を覚えるチャンスになり、オールラウンドプレーヤーが育ちました。だから、子どもの病気などで急に休むことになってもカバーできるんですよ。休暇を取り、一人ひとりが仕事と家庭を両立させることで士気が上がって、仕事の効率が良くなりました。仕事に専念できる環境の決め手は家庭だと思います。仕事と家庭のバランスがとれ、社員が前向きな気持ちで仕事に取り組むことが、長期的には会社を良くすることになるのです。

男女共同参画社会について、どのようにお考えですか?

 会社が家族参加のバーベキュー大会とか、家族が仕事の内容を見たり体験したりする「子ども参観日」をするようになって、私がどんな会社で、どんなふうに働いているかがわかったら、妻がちょっと変わったんです。休日でも「今日は寝てたら」なんて、いたわってくれようになって、より優しくなった感じ(笑)。私も、妻が出産のために福井の実家に帰っているとき、岐阜で長女の送り迎えや家事を一人でやって、妻の日頃の大変さがわかり、「サポートしなきゃ」と思いました。男女共同参画って、家庭であっても社会であっても、要は相手を理解し、思いやることが大事なんじゃないでしょうか。それは異性でも同性でも同じ。会社でも、その人の状況や仕事の大変さがわかると接し方が変わって、良い関係ができてくることを実感しています。

子育て世代の男性や、社会に向けてメッセージをお願いします。

 当社の変革の原点は、社長の「社員を大事にする」という強い信念です。目先のことにとらわれず、人の気持ちを尊重し、その人がより良くなるように考えていくという揺るがぬ姿勢が今につながっています。私も社長のもとで部下たちと接してきたからわかるのですが、長い目でものを見、忍耐をもって臨まなければ、人を育てることはできまません。私には3人の子どもがいますが、最近、会社でよく感じるのは、「これは子育てと一緒だ」ということ。子どもを見守り育てていくことと、職場の人材育成には共通する点が多いと思います。人は、心に余裕がないと、他者を理解することも思いやることもできません。一家庭人として子育てをし、人として親としての心を養うことは、社会のいろいろな場で役立つと思います。部下を持つ人には、子育てに取り組むことをおすすめしたいです。