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最近の不当労働行為救済申立事件の命令概要

 当委員会が命令を発した不当労働行為救済申立事件について、事件概要とそれに対する判断を紹介しています。
なお、命令の全文や他都道府県の救済命令をご覧になりたい場合は、中央労働委員会HP「労働委員会関係命令・裁判例データベース」(外部サイト)」をご参照ください。



岐労委平成27年(不)第3号事件

1事件の概要

 本件は、申立人が被申立人に対し、被申立人の従業員であった外国人組合員への未払賃金の支払い等を内容とする団体交渉及び文書回答要請に応じなかったこと並びにその後の団体交渉申入れに対しても不誠実な対応を取り続けたことが、労働組合法第7条第2号の不当労働行為であるとして救済申立てがあった事案である。


2判断要旨

(1)申立人組合員への未払賃金の支払い等を内容とする団体交渉を拒否したか否か

 団体交渉申入れについては、申立人は、平成27年11月1日付け「要求書、及び、団体交渉申入書」を被申立人に手渡したことは認められな

 いが、組合員への未払賃金に関して、被申立人と面談を行ったことまでは認められるため、同年11月23日付け「改めての回答要請及び団体交

 渉開催要請」が被申立人に配達されたことをもって、少なくとも組合員への未払賃金の支払いに関する団体交渉が申し入れられたものと判断さ

 れ、被申立人が申立人からの団体交渉応諾の連絡要請に一切応じていないのは労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

(2)申立人組合員への未払賃金の支払い及び陳謝文の手交について

 主文の救済をもって足りるものと判断する。


3命令内容

(1)被申立人は、申立人から申立てのあった申立人の組合員への未払賃金の支払いに関する団体交渉に応じなければならない。

(2)申立人のその余の申立てを棄却する。

 

岐労委平成26年(不)第1号事件

1事件の概要

 本件は、被申立人会社(以下「会社」という。)が、申立人組合(以下「組合」という。)の執行委員長であるA1(以下「A1委員長」という。)に対して行った5回の懲戒処分及び降格並びに組合の書記次長であるA2(以下「A2書記次長」という。)に対して行った2回の懲戒処分を労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとして、また、会社がA1委員長に対する懲戒処分問題を議題とする団体交渉を拒否したのは労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てのあった事案である。


2判断要旨

(1)A1委員長の私語に対する昇給停止処分について

 その当時、労使が対立関係にあったことや、私語に対する処分としては異例であると思われること、会社の業務に現実の支障を生じたとは認められないこと、非組合員についての同種事例では口頭注意で終わっていると推認できること等から、労組法第7条第1号の不利益取扱いに該当する。

(2)A1委員長の(1)以外の処分及び降格並びにA2書記次長の処分について

 (1)以外の処分については、処分の対象となる非違行為の態様や、過去の処分歴、非組合員の事例との比較検討においても特に重いとは認められず、組合員であることの故をもってなされたものと認めるに足りない。

(3)A1委員長の処分問題を議題とする団体交渉を拒否したか否か

 A1委員長の懲戒処分の撤回については、必ずしも中心的な団体交渉事項にはなっていなかったと認められ、時間切れになったり、組合側からの質問がないまま終了したものも少なくないが、もとよりこれは会社側の団交拒否によるものとは認められない。

(4)陳謝文の交付及び掲示について

 必要とすべき特段の事情も認め難く、今後の労使関係の円満健全な発展に資するとも思われないため棄却した。


3命令内容

(1)被申立人は、申立人組合員A1に対して平成25年7月20日付けでなされた平成25年8月から平成26年3月までの8か月間の昇給停止処分がなかったものとして取り扱うとともに、平成25年8月から平成26年3月までの間に同人が得たであろう昇給分相当額を支払わなければならない。

(2)その余の申立てを棄却する。



岐労委平成24年(不)第2号・第4号、平成25年(不)第1号事件

1事件の概要

 本件は、(1)被申立人会社(以下「会社」という。)が申立人組合(以下「組合」という。)から提出された要求項目に具体的な回答をしなかったことや団体交渉に交渉権限を有する者を参加させなかったことは不誠実団交の、(2)会社が社内報で組合からの脱退を慫慂した(=そそのかした)ことは支配介入のそれぞれ不当労働行為に当たるとして(以上、平成24年(不)第2号事件)、(3)組合から求められた夏季一時金の支給金額の根拠等を明らかにしなかった会社の態度は不誠実団交の不当労働行為に当たるとして(平成24年(不)第4号事件)、(4)会社が組合役員4名に対し、源泉徴収義務に基づく税務手続きを行わなかったことは不利益取扱いの、また、(5)会社が年末一時金に関する団体交渉において、各種手当等とセットでなければ妥結しないと固執したことや今後も同じ回答を繰り返す旨を表明したことは団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとして(以上、平成25年(不)第1号事件)、それぞれ救済申立てのあった事案である。


2判断要旨

(1)会社が組合から提出された要求項目に具体的な回答をしなかったことや団体交渉に交渉権限を有する者を参加させなかったことについて

 会社が要求項目に具体的な回答をしなかったことについては、組合がその要求の内容、根拠について説明すべき立場にあったが事実上それを行っていないと推認でき、会社が意見を聴取してから回答しようとしたことには一定の理由があると考えられるため、不当労働行為に当たるとまでは言えない。また、会社が団体交渉において質問事項についてその場で回答せず、持ち帰って回答できるか否かを含め検討するとしたことをもっては、直ちに不誠実団交であるということはできない。

(2)会社が社内報で組合からの脱退を慫慂したことについて

 一部の社内報の記事について社内報の発行時期、発行方法も併せて判断すると、結成後間もなく、組合員の獲得に腐心していたと推測される組合にとっては少なからぬ痛手となった可能性を否定することはできないため、不当労働行為(支配介入)に該当すると言わざるを得ない。

(3)組合から求められた夏季一時金の支給金額の根拠等を明らかにしなかった会社の態度について

 組合の欲する資料の開示がないからといって、会社が開示した資料によっても有意な団体交渉が可能であることから、会社が不誠実であったとまでは断ずることはできない。また、団体交渉の成果が所期のものと異なっていても、それをもって不誠実団交だということもできない。

(4)会社が組合役員4名に対し、源泉徴収義務に基づく税務手続きを行わなかったことについて

 年末一時金交渉について、会社が時間給労働者の賃上げ等とセットでの妥結を求めたこと自体は不合理なものとまでは言えず、その結果として年末一時金の支給が遅れ、組合役員らに対する年内の年末調整事務を行うことができなかったことは、やむを得なかったものと認められる。また、後の給与支払時に会社自ら年末調整の事務処理を行った事実をも考慮すれば、会社の対応が殊更組合嫌悪や反組合的意思ないし動機をもって行われたものとは認められない。

(5)会社が年末一時金に関する団体交渉において、各種手当等とセットでなければ妥結しないと固執したことや今後も同じ回答を繰り返す旨を表明したことについて

 会社は組合との一連の交渉を経て回答していること、比較的近接した期間内に合意に向け継続して交渉に応じたこと、組合から再提示される要求項目に同じ項目が含まれていても構わないと提案していること、正社員に対する年末一時金及びフルタイム従業員に対する寸志についてセット妥結に至っていないのにもかかわらず組合が合意を表明した額を支給したこと、その後セットでの合意に至ったことを評価すれば、セット妥結という主張は必ずしも頑ななものではなく、会社が組合に対し団体交渉の放棄を求めているとまではいえない。


3命令内容

(1)被申立人は、申立人の組合員が労働組合から脱退することを慫慂するなどの申立人の組織化に影響を及ぼす記事を掲載した社内報その他の文書を配布するなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。

(2)申立人のその余の申立てを棄却する。



岐労委平成24年(不)第1号事件

1事件の概要

 本件は、申立人ら組合(以下「組合」という。)が被申立人会社(以下「会社」という。)に対し、団交事項目録記載の団交事項等を議題とする団体交渉を申し入れたものの、会社は、申入れの趣旨からは交渉事項を特定して了解することができない、申入内容については十分な回答をしている、会社の名誉を毀損する街宣活動により組合に不信感を抱いた、会社が執った措置についてはそれが合理的なものである、前提事実を誤認する申入れである、申入事項は会社の処分可能事項ではないなどとして、これに応じなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事案である。


2判断要旨

 団交事項のうち、昼勤者に対する賃金の据置措置及び賃金(住宅手当)引下措置については、その有効性に問題があるとの認識に立った上で組合の要求を真摯に受け止め、真剣かつ誠実な交渉努力をすべきであったのに、会社はそのような対応を全くしていないため、その意味においてなお団体交渉の継続を求める組合の請求には理由があると解すべきである。それら以外の団交事項については、申立て後の団体交渉等を通じて組合からの申入内容が叶えられ解決されていること、団体交渉は誠実に行われたものの交渉が膠着状態に陥っていることなどといったそれぞれの理由から、これ以上に団体交渉の継続を命じる必要はないと解する。


3命令内容

(1)被申立人は、申立人らが申し入れた団交事項中昼勤者に対する賃金の据置措置及び賃金(住宅手当)引下措置を議題とする団体交渉に、誠実に応じなければならない。

(2)申立人らのその余の申立てを棄却する。



岐労委平成21年(不)第1号事件

1事件の概要

 本件は、(1)被申立人学校法人(以下「法人」という。)が行った申立人組合(以下「組合」という。)の組合員に対する昇給延伸及び(2)本件外懲戒処分に係る教科担任外しが不利益取扱いの不当労働行為に、さらに(3)昇給延伸の撤回及び教壇復帰を議題とする団体交渉を、法人が経営の専権事項又は裁判で係争中であることを理由に拒んだことが団体交渉拒否の不当労働行為に、(4)職員会議等における組合活動への言及等が組合の弱体化を意図した支配介入の不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事案である。


2判断要旨

(1)組合員に対する昇給延伸について

 組合員X1及びX2に対する昇級延伸については、他の教員と比較して両名の成績が特に不良であったとも認められず、校長及び教頭による勤務評定とは異なる何らかの理由に基づいて決定されたものと言わざるを得ないところ、組合活動以外にその理由を見出すことが困難であり、昇級延伸を行うことによって組合活動の弱体化を企図したものと推認することができるため、不利益取扱いに該当する。

(2)本件外懲戒処分に係る教科担任外しについて

 組合員X3の教科担任外しについては、教員は基本的に校務分掌に関する法人の決定に従うべき義務があると言うべきであり、X3に教科を担当させず学力向上等に関する業務に専従させたことについて業務上の必要性が全くなかったということはできず、また組合活動の故をもってなされたものと認めるにも足りず、当該取扱いがもともとX3の非違行為に端を発していることをも勘案すると、通常甘受すべき程度を超える著しい不利益であるとまでは認められないので、不利益取扱いには該当しない。

(3)昇給延伸の撤回及び教壇復帰を議題とする団体交渉を、法人が経営の専権事項又は裁判で係争中であることを理由に拒んだことについて

 昇級延伸や教壇復帰について団体交渉に応じないとする理由については、一方的に経営権に属する事項であることのみをもって団体交渉の対象から除外する旨を通告するだけでは誠実な対応とは言えないし、係争中であっても団体交渉による自主解決の余地がある以上、拒否する理由には当たらない。よって不誠実団交に該当する。

(4)職員会議等における組合活動への言及等について

 職員会議等における数々の行為については、X3や組合に対する報復や威嚇の要素があったと認めることは困難であり、また組合側の主張する事実を採用するに足る疎明もないことから、組合に対する支配介入には該当しない。


3命令内容

(1)被申立人は、申立人の組合員X1及びX2に対する昇級延伸はなかったものとして取り扱うとともに、当該昇級延伸がなければ得たであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。

(2)被申立人は、「組合員X3の教壇への復帰問題」に関して、申立人との団体交渉に応じなければならない。

(3)その余の申立ては棄却する。



岐労委平成21年(不)第2号事件

1事件の概要

 本件は、(1)申立人組合(以下「組合」という。)の組合員の賃金減額問題の解決及び労働条件に関する労働協約の締結を議題とする団体交渉を、業務多忙なため受けられないあるいは個人的に話をする問題であるとして被申立人会社(以下「会社」という。)が拒んだことが団体交渉拒否の不当労働行為に、(2)本件申立て以降に開催された団体交渉において組合の要求した財務諸表等の具体的な資料を提示して説明しなかったことが不誠実な団体交渉の不当労働行為に、(3)組合員に対する賃金減額及び解雇処分は組合員であることを理由として行われた不利益取扱いに当たるとして救済申立てのあった事案である。


2判断要旨

(1)組合員の賃金減額問題の解決及び労働条件に関する労働協約の締結を議題とする団体交渉を、会社が業務多忙なため受けられないあるいは個人的に話をする問題であるとして拒んだことについて

 申し入れられた交渉事項が賃金減額問題という労働者にとって最重要事項であったことを考慮すると速やかに団体交渉に応じるべきものであり、また会社は日時を調整すればいずれの団体交渉の申入れ時においても速やかに団体交渉に応ずることができたと推認され、団体交渉を拒否した他の諸事由にも理由がないため、団体交渉に応じなかったことは不当労働行為に該当する。

(2)本件申立て以降に開催された団体交渉において組合の要求した財務諸表等の具体的な資料を提示して説明しなかったことについて

 本件申立て以降に開催された9回の団体交渉においては、組合が求める具体的な資料(又はこれに代わる同等の資料)を提示しての説明はしておらず、またその提示までに組合が再三提示を求めていたことにも照らすと、会社の対応は不誠実であったことのそしりを免れず、これらの対応は不当労働行為に該当する。

(3)申立人組合員に対する賃金減額及び解雇処分について

 会社が組合員に対して賃金減額・解雇処分を行った時期は、いずれも組合員が組合に加入して団体交渉を申入れ、また本件申立て等の組合活動を行っていた時期と符合しており、そのためになされたものと推認することができるため、不利益処分の不当労働行為に該当する。


3命令内容

(1)被申立人は、具体的な資料を提示し説明するなどして誠実に団体交渉を行わなければならない。

(2)被申立人は、申立人の組合員に対する賃金減額及び解雇の各処分がなかったものとして取り扱うとともに、各処分がなければ得たであろう賃金相当額と既に支払われた賃金額との差額を支払わなければならない。

(3)申立人のその余の申立てを棄却する。