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地方財政の充実・強化を求める意見書

記事ID:0018269 2018年7月5日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

 地方自治体は、子育て支援策の充実と保育人材の確保、高齢化が進行する中での医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持など、果たすべき役割が拡大する中で、人口減少対策を含む地方版総合戦略の実行や、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施など、新たな政策課題に直面している。
 一方、地方公務員をはじめとした公的サービスを担う人材が限られる中で、新たなニーズへの対応と細やかな公的サービスの提供を行うことが求められており、これに見合う人材確保と財政基盤の確立を目指す必要がある。
 このような中、国においては、社会保障費や地方財政を重点分野とした歳出削減に向けた議論がなされているが、特に、地方交付税における「トップランナー方式」の更なる導入にあたっては、地方の行政コストの差が歳出削減努力以外の要素によるところが大きいことを考慮すべきである。
 必要な公的サービスを提供するための財源を担保するのが地方財政計画の役割であるが、財政健全化目標を達成するためだけに歳出削減が行われ、結果として不可欠なサービスが削減されれば、むしろ国民生活と地域経済に疲弊をもたらすことにもなり、本末転倒の結果となるおそれがある。
 このため、2019年度の政府予算と地方財政対策の検討にあたっては、国民の生活実態に即した歳入・歳出を的確に見積もり、持続可能な地方財政基盤の確立を目指すことが必要である。
 よって、国におかれては、地方財政の充実・強化を図るため、次の事項の実施について強く求め、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  1. 社会保障、災害対策、環境対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること。
  2. 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算を含めた地方財政措置を的確に行うこと。
  3. 地方交付税における「トップランナー方式」の更なる導入にあたっては、地方行政コストの差は、人口や地理的条件など、歳出削減努力以外の要素によるところが大きく、トップランナーだけを捉えた一律の行政コスト比較にはなじまないことに十分留意すること。
  4. 災害時においても住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体庁舎をはじめとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充等を行うこと。また、2015年度の国勢調査を踏まえた人口急減自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、地方交付税算定のあり方を引き続き検討すること。
  5. 地域間の財源偏在性の是正のため、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。
     また、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方財政に与える影響を十分検証した上で、代替財源の確保をはじめ、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること。
  6. 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図るため、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。
     また、地方交付税原資の確保については、臨時財政対策債に過度に依存しないものとし、対象国税4税(所得税・法人税・酒税・消費税)に対する法定率の引き上げを行うこと。
  7. 自治体の基金残高を、地方財政計画や地方交付税に反映させないこと。

 平成30年7月5日

岐阜県議会議長

(提出先)
 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革)