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岐阜県中小企業・小規模企業振興条例案

記事ID:0014308 2016年2月25日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

岐阜県中小企業・小規模企業振興条例案

 岐阜県は、古くからものづくりが盛んであり、製造業はその中心的な産業である。繊維、陶磁器、家具・木工、刃物、紙、プラスチック、食品など、県内各地域の歴史、風土及び文化の中で培われてきた特色ある地場産業を中心に、岐阜県のものづくりは成長してきた。
 また、岐阜県は、日本の真ん中に位置し、東西南北の交通の要衝であり、織田信長の楽市令施行以前から商業が繁栄してきた地域でもある。
 これらの産業の主たる担い手として、県内の総企業数のほとんどを占める中小企業、そのうち大部分を占める小規模企業は、特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供することで、地域の発展に貢献し、岐阜県の経済と雇用を支える重要な役割を果たしてきた。また、地域活動の担い手としても、中心的な役割を務めてきた。
 しかしながら、昨今、人口減少や少子高齢化が加速度的に進み、生産活動を支える労働力人口や国内需要が減少し、国際的な競争や海外市場の変化が激しくなるなど、中小企業を取り巻く経済や社会の状況は厳しさを増しており、とりわけ規模が小さく経営基盤の弱い小規模企業は特に厳しい状況にある。
 このような状況にあっても、中小企業が女性の活躍促進、ワーク・ライフ・バランスの実現、障害者の雇用拡大、大都市圏からの有為な人材の受入れなど誰もが活躍できる場の創出と、新たな商品及びサービスの開発、成長分野への参入、環太平洋パートナーシップ協定を契機とする積極的な海外展開など創造的な事業活動を通じて、人口減少・少子高齢化社会を乗り越え、引き続き地方創生を担う役割が期待されている。
 岐阜県の経済の健全な発展及び県民生活の向上のためには、このような小規模企業をはじめとする中小企業の存在と役割の重要性に対する認識が県民の間で共有され、中小企業の成長に向けた意欲的な取組や小規模企業の持続的な発展に向けた取組を関係機関と連携して支援していく必要がある。
 ここに、小規模企業をはじめとする中小企業の振興について、必要な施策を総合的に推進していくため、この条例を制定する。
(目的)
第一条この条例は、急速な人口減少・少子高齢化の進展、経済のグローバル化、国内市場の縮小など、社会経済環境がめまぐるしく変化する中で、地域経済の担い手である小規模企業をはじめとする中小企業が、雇用の創出による誰もが活躍できる場の創出と積極的な海外展開など創造的な事業活動を通じて、地方創生に果たす役割の重要性に鑑み、小規模企業の事業の持続的な発展その他の中小企業の振興について、基本理念を定め、並びに県の責務及び市町村、中小企業者、中小企業団体その他の関係者の役割等を明らかにするとともに、中小企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって地域経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一中小企業者中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項に規定する中小企業者であって、県内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。
二小規模企業者中小企業基本法第二条第五項に規定する小規模企業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。
三中小企業団体商工会、商工会議所、中小企業団体中央会その他の中小企業の支援を行う団体であって、県内に事務所を有するものをいう。
四大企業者中小企業者以外の事業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。
五金融機関銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関であって、県内に本店又は支店を有するものをいう。
六大学等学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学及び高等専門学校、同法第百二十四条に規定する専修学校、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他の教育研究機関をいう。
(基本理念)
第三条中小企業の振興は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
一中小企業者の経営の改善及び向上を図るための創意工夫及び自主的な努力が促進されること。この場合において、小規模企業者については、持続的な発展を図るための取組が促進されること。
二県、市町村、中小企業者、中小企業団体、大企業者、金融機関、大学等、県民その他中小企業者の事業活動と関係がある者が相互に連携し、及び協力して推進されること。
三県内にある産業基盤、優れた人材、豊かな特産物、自然環境その他の地域資源を十分に活用して推進されること。
(県の責務)
第四条県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業の振興に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2県は、中小企業の振興に関する施策を実施するに当たっては、市町村、中小企業者、中小企業団体、大企業者、金融機関、大学等、県民その他の関係者と連携して取り組むものとする。
(市町村の役割)
第五条市町村は、基本理念にのっとり、中小企業の振興に関する施策が効果的かつ効率的に実施されるよう、国、県及び他の市町村と連携し、その地域の特性を生かした施策を実施するよう努めるものとする。
(中小企業者の努力)
第六条中小企業者は、基本理念にのっとり、自主的に経営の改善及び向上を図るよう努めるものとする。
2中小企業者は、事業活動を通じて、豊かで活力ある地域社会の形成に寄与するよう努めるものとする。
3小規模企業者は、相互に連携を図りながら協力することにより、自ら小規模企業の振興に取り組むよう努めるものとする。
(中小企業団体の役割)
第七条中小企業団体は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、中小企業者が経営の改善及び向上を図るために行う取組に対して積極的な支援を行うよう努めるとともに、小規模企業者に対してはその立場に立った支援をするよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第八条大企業者は、基本理念にのっとり、地域の雇用を支え、地域社会の形成及び維持に寄与している中小企業の重要性について理解を深めるとともに、中小企業者に対し、連携して事業を行う機会の創出その他の必要な協力を行うよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第九条金融機関は、基本理念にのっとり、中小企業者に対し、円滑な資金の調達、経営の支援その他の必要な協力を行うよう努めるものとする。
(大学等の役割)
第十条大学等は、基本理念にのっとり、中小企業者の事業活動及び地域経済に果たす役割について広く情報の提供を行うとともに、中小企業者の事業活動に有用な人材を育成するよう努めるものとする。
2大学等は、基本理念にのっとり、中小企業者との共同研究、中小企業者の技術の向上を図るための支援、中小企業者への研究成果の移転その他の必要な協力を行うよう努めるものとする。
(県民の協力)
第十一条県民は、基本理念にのっとり、中小企業者の事業活動及び地域経済に果たす役割について社会教育、学校教育等を通じ、その重要性に対する認識を深めるとともに、県が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(教育の充実)
第十二条学校(学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園、大学及び高等専門学校を除く。)をいう。)は、基本理念にのっとり、中小企業者の事業活動及び地域経済に果たす役割について、児童及び生徒の理解を深めるための教育活動を行うよう努めるものとする。
(施策の基本方針)
第十三条県は、中小企業が女性の活躍促進、ワーク・ライフ・バランスの実現、障害者の雇用拡大、大都市圏からの有為な人材の受入れなど誰もが活躍できる場の創出と、新たな商品及びサービスの開発、成長分野への参入、環太平洋パートナーシップ協定を契機とする積極的な海外展開など創造的な事業活動を通じて、人口減少・少子高齢化社会を乗り越え、地方創生を担う重要な存在であることを踏まえ、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業の振興に関する施策を講ずるものとする。
一創業及び新たな事業の創出等の促進を図ること。
二成長分野への参入に向けた新商品及び新技術の研究及び開発の促進を図ること。
三新たな需要及び市場の開拓並びに海外における事業の展開の促進を図ること。
四経営方法の改善、技術の向上その他中小企業の経営基盤の強化を図ること。
五産学金官の連携(中小企業者、中小企業団体、大学等、金融機関並びに国及び地方公共団体が相互に連携することをいう。)の推進を図ること。
六地域にある産業基盤その他の地域資源を活用して行う事業環境の整備を図ること。
七後継者をはじめとする事業活動を担う人材の育成及び確保を図ること。
八事業の承継又は廃止の円滑化を図ること。
九女性の活躍促進及び障害者の雇用拡大を図ること。
(小規模企業の重要性を踏まえた配慮)
第十四条県は、前条各号に掲げる基本方針に基づき、中小企業の振興に関する施策を講ずるに当たっては、小規模企業の事業活動及び経済に果たす役割の重要性に鑑み、その事業の持続的な発展を図るため、経営資源の確保が困難であることが多い小規模企業者の事情に配慮するものとする。
(財政上の措置)
第十五条県は、中小企業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
 附則
 この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

提案説明

 小規模企業をはじめとする中小企業の振興施策を総合的に推進し、中小企業の成長と小規模企業の持続的な発展を図ることにより、地域経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与するため、この条例を定めようとする。