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岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例案

記事ID:0014309 2016年2月25日更新 印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示

岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例案

目次
前文
第一章総則(第一条―第八条)
第二章障害を理由とする差別の禁止(第九条)
第三章共生社会実現施策(第十条―第十五条)
附則
 豊かな森を源として県内をあまねく流れる「清流」は、美しい自然や伝統的な文化を育くんできただけでなく、里や街、人と人とをつなぎ、地域の絆(きずな)を深め、障害のある人もない人も共に生きる社会を徐々に育んできた。
 さらに、ぎふ清流大会においては、障害のある人が積み重ねた努力の成果を発揮する姿や障害を乗り越えて懸命に頑張る姿が、県民に感動を与えるとともに、県民総参加による地域の絆づくりの取組が、障害のある人もない人も共に生きる社会づくりをさらに推し進める契機となった。
 しかしながら、障害のある人の社会参加が進む中、今なお障害を理由とする差別や社会的障壁が存在することも事実である。
 こうした状況を踏まえ、障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別の解消を推進することはもちろん、さらに一歩進んで、障害のある人とない人とが積極的に交流する機会を幼児期から増やし、障害のある人もない人も共に生きる社会づくりを進めていかなければならない。
 このため、障害のある人への誤解や偏見を無くしていくよう、教育や普及啓発、交流の機会の創出等に、県、障害者関係団体、市町村、県民及び事業者が、それぞれの役割を果たすとともに、互いに連携して、又は一体となって取り組む必要がある。
 ここに、全ての県民のために、障害を理由とする差別を解消するとともに、一人ひとりの違いを認め合い、かけがえのない個人として尊重し合い、障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくりを目指して、この条例を制定する。
第一章総則
(目的)
第一条この条例は、障害のある人に対する理解を深めることその他の障害を理由とする差別を解消するための取組及び障害のある人と障害のない人との交流を促進するための取組について、基本理念を定め、県の責務並びに障害者関係団体、市町村、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定め、これらの取組に係る施策を総合的に推進することにより、障害を理由とする差別を解消し、障害のある人も障害のない人も分け隔てなく共に安心して暮らせる社会(以下「共生社会」という。)の実現を図り、もって県民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条この条例において「障害のある人」とは、障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
2この条例において「障害」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害をいう。
3この条例において「社会的障壁」とは、障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(基本理念)
第三条共生社会の実現は、全ての県民が、障害の有無にかかわらず、基本的人権を有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提に、次の事項を旨として図られなければならない。
一全ての障害のある人は、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
二全ての障害のある人は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共に暮らすことを妨げられないこと。
三全ての障害のある人は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
四障害を理由とする差別及び社会的障壁に係る問題は、障害の有無にかかわらず、全ての県民の問題として認識され、その理解が深められること。
五県内に暮らす障害のある人の生活だけでなく、県外から訪れる障害のある人の過ごしやすさにも配慮されること。
(県の責務)
第四条県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害を理由とする差別の解消及び障害のある人と障害のない人との交流の促進による共生社会を実現するための施策(以下「共生社会実現施策」という。)を総合的かつ主体的に策定し、及び実施する責務を有する。
(障害者関係団体の役割)
第五条障害者関係団体は、基本理念にのっとり、障害のある人の意見を聴き、必要に応じ、県及び市町村に対し必要な措置を講ずるよう要請することその他の共生社会を実現するために必要な障害のある人に対する支援を行うよう努めるものとする。
2障害者関係団体は、基本理念にのっとり、障害のある人に対する理解を深めるための啓発を行うとともに、県、市町村又は他の障害者関係団体が実施する共生社会実現施策又は障害を理由とする差別の解消及び障害のある人と障害のない人との交流の促進による共生社会を実現するための取組について協力するよう努めるものとする。
(市町村及び障害者関係団体との連携等)
第六条県は、市町村が独自の工夫により、共生社会実現施策を実施する場合は、市町村と連携して共生社会実現施策を推進するとともに、市町村に対して情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。
2県は、障害者関係団体が前条第二項の取組を実施する場合は、障害者関係団体と連携して共生社会実現施策を推進するとともに、その活動に関する普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。
3県は、前二項に規定する市町村及び障害者関係団体と連携し、又は一体となって共生社会実現施策を推進するものとする。
(県民の役割)
第七条県民は、基本理念にのっとり、障害のある人に対する理解を深めるよう努め、障害のある県民及びその関係者は、社会的障壁があると感じた場合は、周囲の人に対してそれを積極的に伝えるよう努めるものとする。
2県民は、基本理念にのっとり、県、障害者関係団体又は市町村が実施する共生社会実現施策又は第五条第二項の取組に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第八条事業者は、基本理念にのっとり、障害のある人に対する理解を深めるよう努めるものとする。
2事業者は、障害のある人の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに、雇用環境の整備その他適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めるものとする。
第二章障害を理由とする差別の禁止
第九条何人も、障害のある人に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
第三章共生社会実現施策
(県民会議)
第十条県は、共生社会実現施策に広く県民の意見を反映し、県民と一体となってこれを実施するため、県民会議を設置する。
(啓発等)
第十一条県は、県民の基本理念に対する関心と理解を深めるとともに、白杖(じょう)(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第十四条第一項に規定する目が見えない者が携えるつえをいう。)、障害のある人に関する記号(障害のある人が利用できる建物、施設であることを表すための記号その他の障害のある人に関する事項を表示するための記号をいう。)その他の障害のある人に対する理解を深めることに資する知識の普及を図るため、必要な啓発を行うものとする。
2県は、市町村その他の関係機関、ろう者(手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。以下同じ。)、手話通訳者等と協力して、県民が手話を学ぶ機会の確保等に努めるとともに、ろう者が県政に関する情報を速やかに得ることができるよう、手話を用いた情報発信に努めるものとする。
(教育の充実)
第十二条県は、学校教育において、障害のある人に対する理解及び手話に対する理解の促進が図られるよう努めるものとする。
(交流の促進)
第十三条県は、障害のある人と障害のない人との相互理解を促進するため、幼児期から互いの交流を促進するものとし、保育所、学校、地域その他のあらゆる場所において交流の機会の拡大及び充実を図るよう努めるものとする。
(顕彰)
第十四条県は、共生社会の実現のため、県民の模範となる行為をしたと認められる障害者関係団体その他の団体、県民及び事業者を顕彰するものとする。
(財政上の措置)
第十五条県は、共生社会実現施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

提案説明

 障害のある人に対する理解を深め、障害を理由とする差別を解消することに加え、障害のある人とない人との交流を促進するための施策を総合的に推進し、障害のある人もない人も分け隔てなく共に安心して暮らせる社会の実現を図ることにより、県民の福祉の増進に寄与するため、この条例を定めようとする。